2週間の父親の育児休業案に反対する署名が5万人超分集まった
Keystone/Marcel Bieri
スイスの議会で昨年9月可決された父親に2週間の育児休業を認める案に反対するレファレンダムが成立した。国民投票は今年後半にも行われる見通しだ。
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保守系右派の国民党などでつくるレファレンダム発起人委員会は23日、3カ月で5万5200人超の署名を集めたと発表した。連邦内閣事務局で署名の有効性が確認されれば、国民投票となる。
反対派は、父親の育児休業は雇用主のコスト負担が大きすぎると反発。家庭生活は個人の問題で、国が関与するべきではないと主張している。
父親の育児休業を導入した場合にかかるコストは年間2億2900万フラン(約250億円)とされる。
スイスには現在、父親の育児休業を保障する法律がない。パートナーの出産を理由に休むことはできるが、実質1~2日だ。
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スイスでは、父親の育児休業を保障する法律がない。慣例的に取れることは取れるが、それでもたった1日だ。
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父親の育児休業をめぐっては2016年、労働組合や父親らで作る団体が4週間の育休導入を求めるイニシアチブ(国民発議)を提起。この案に対する連邦議会の議論で4週間という長さに難色を示す意見が多く、議会は最終的に2週間という独自の案を出した。
議会の案は憲法改正が必要ない「間接的対案」で、イニシアチブが撤回され、レファレンダムも出なければ自動的に成立する。労働組合側が議会の対応を受けて4週間案を撤回したため、2週間の案だけが残り、あとは期間内にレファレンダムが成立するか否かが焦点となっていた。
スイスでは2005年まで、女性の産休・育休(出産後から14週間)が法律で保障されていなかった。連邦憲法にその権利が盛り込まれてから、制度が整うまで60年かかっている。
その他のレファレンダム
議会の決定に対するレファレンダムが成立し、国民投票にかけられるのは、児童手当の税控除、デジタルID導入、改正狩猟法に続き今年4度目となる。
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