The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

スイス政府、ウクライナの戦傷者受け入れ認めず 中立性理由に

病室
ウクライナのドニプロにある病院で、負傷したウクライナ兵と握手するウォロディミル・ゼレンスキー大統領 Keystone / Presidential Press Service Hando

スイス連邦政府は中立性を理由に、ウクライナ人戦傷者の国内治療を行わない方針を示している。 

ドイツ語圏日刊紙ターゲス・アンツァイガー外部リンクによると、スイスの一部の州は既に5月の時点で、ウクライナから国外への負傷者搬送に当たる北大西洋条約機構(NATO)の欧州大西洋災害対応調整センター(EADRCC)からの正式な協力要請に対し、負傷者の受け入れに応じる姿勢を示していた。 

しかしスイスの医療コーディネート班、連邦公衆衛生局、連邦外務省が3週間にわたりEADRCCの要請を国際法に照らして検討した結果、法的および実践的な理由から、ウクライナ人負傷者を受け入れない判断を下したという。各州病院には受け入れ準備を中止するよう6月末に通知され、EADRCCは実質的に患者搬送の道を断たれた。 

主な理由は、国際法上の中立国であるスイスの立場に反するというもの。例えばジュネーブ条約および1907年のハーグ協定では、中立国に対し、回復した兵士を再び軍事作戦に参加させないよう求めている。 

また外務省のヨハネス・マティヤシー報道官はターゲス・アンツァイガー紙の取材に対し、ウクライナでは多くの民間人が国を守るために武器を取っていることから、兵士と民間人を区別できないため、民間人の受け入れもできないとの見解も示した。 

同氏は、ウクライナの病院への人道援助を通じて負傷者を助けたいとしている。 

(英語からの翻訳・大野瑠衣子)

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

ひまわり畑

おすすめの記事

見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。

もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
UBS

おすすめの記事

スイス政府、金融規制改革の最終案を発表

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦内閣は6日、クレディ・スイス危機を踏まえた金融規制改革の最終案を発表した。自己資本規制を強化し、金融監督局の権限も強化する。

もっと読む スイス政府、金融規制改革の最終案を発表
ガザ

おすすめの記事

スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難

このコンテンツが公開されたのは、 パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルの「戦争犯罪」に関して、スイスの元外交官55人がスイス外相に共同書簡を送り、スイスの「沈黙と消極性」を非難した。政府に対して直ちに措置を講じるよう求めた。

もっと読む スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難
軍隊

おすすめの記事

スイスで放射能測定の合同演習 

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは2~6日、国際チームがヘリコプターで空中の放射能測定を行っている。緊急時に広い範囲の放射能を迅速にチェックする予行演習だ。

もっと読む スイスで放射能測定の合同演習 
サルコ

おすすめの記事

自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡

このコンテンツが公開されたのは、 自殺カプセル「サルコ」を運営する自殺ほう助団体「ラストリゾート」共同設立者のフロリアン・ウィレ氏(47)が、先月5日にドイツで死去していたことが分かった。

もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡
土砂崩れ

おすすめの記事

スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む

このコンテンツが公開されたのは、 スイス南部レッチェンタール(ヴァレー州)で28日午後、大きな氷河が崩壊し、大規模な土砂崩れがふもとのブラッテン村を襲った。多数の家屋が倒壊し、1人が行方不明。

もっと読む スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部