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史上最大の3D宇宙地図が完成

巨大星雲NGC2014とその隣のNGC2020
欧州宇宙機関(ESA)が4月24日に公開した写真。16万3000光年離れた大マゼラン銀河の広大な星形成領域にある巨大星雲NGC2014とその隣のNGC2020。 Keystone / Nasa, Esa, And Stsci / Handout

国際的な科学者が協力して数百万個の銀河やクエーサー(準恒星状天体)を分析した共同調査が完了し、史上最大の3D宇宙地図が完成した。


観測プロジェクト「拡張バリオン振動分光サーベイ(eBOSS)」は、連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の宇宙物理学者ジャン・ポール・クネイブ氏が立ち上げに貢献。6年間にわたって行われた。

eBOSSは米ニューメキシコ州に設置した光学望遠鏡から収集されたデータを使った「スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)」の一環として参加したプロジェクト。完成した3D宇宙地図は、世界30機関の科学者数百人が20年間にわたり行ってきた共同研究の集大成として20日に公開された。

クネイブ氏はEPFLの声明で、「遠い宇宙の物質分布や、活発に星形成をしている銀河やクエーサーなどを初めて盛り込んだ、宇宙の生涯における最も完全な3D宇宙地図を作成するというアイデアのもと、2012年にeBOSSプロジェクトを立ち上げた」と説明し、「今日、この研究の集大成を目にすることができて、とてもうれしい」と完成の喜びを語った。

EPFLによると、この調査は1998年から収集している既存データを基にしており、宇宙膨張の根底にあるメカニズムをさらに深く理解することで、宇宙論の歴史のギャップを埋める。宇宙誕生の起源となった「ビッグバン」は138億年前に起こったとされている。

eBOSSを完了するために、研究者たちは銀河の空間分布の繰り返しパターンを測定し、宇宙の仮定に基づく暗黒物質(ダークマター)の密度やエネルギーを含むいくつかの主要な宇宙論的パラメータを特定した。

今回の発表チームを率いた米ユタ大学の宇宙論研究者カイル・ドーソン氏は、「宇宙の古代の歴史も最近の膨張の歴史もよく分かっているが、この110億年の真ん中には、厄介なギャップがある」と話す。「5年にわたる継続的な観測のおかげで、私たちはそのギャップを埋める努力をすることができた。そしてその情報を使って、過去10年間の宇宙論の中で最も実質的な進歩をもたらすことができた」

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