レマン湖畔でプラスチックやその他のごみを収集するボランティアの人たち。2018年4月7日撮影
© KEYSTONE / JEAN-CHRISTOPHE BOTT
スイスとフランスの国境にあるレマン湖には、毎年約50トンのプラスチックごみが流れ込むことが新しい研究で明らかになった。
このコンテンツが公開されたのは、
レマン湖救済協会(ASL)が委託したこの調査外部リンクでは、毎年湖で見つかるプラスチック廃棄物の半分(30トン)が自動車やトラックのタイヤから出る合成樹脂だと推定している。道路から洗い流されるタイヤのほこりや小さな粒子が、湖に堆積するという。
湖から出るごみで2番目に多いのは梱包ごみ(10トン)。建設工事で使用されるプラスチック(3.3トン)、繊維の粒子(2.2トン)、塗料(0.9トン)と化粧品(0.7トン)がそれに続く。
ジュリアン・ブーシェさんと連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の共同研究では、湖に堆積するプラスチックごみの99%は、道路の溝や排水溝を介して湖に流れ込む細かい粒子だ推定している。ジュネーブ近郊のローヌ川に投棄されたごみでレマン湖に流れ着く廃棄物は、全体のわずか10分の1だった。
プラスチックごみの大半は湖底の堆積物として蓄積し、ほとんど分解されない。また、鳥や魚などの生物が体内に取り込むプラスチックごみも相当な量に達するという。
プラスチック廃棄物の問題に対処するため、とりわけ包装に使用するプラスチックの量を制限し、消費者が再利用できる材料や容器を選ぶよう、レマン湖救済協会は大手企業に要請している。
今年初めに発表された別の研究によれば、ジュネーブ湖から収集されたプラスチック廃棄物には、有害な臭素とカドミウムが含まれていた。これは野生生物を明らかに危険にさらす量だった。また、廃棄物からは高濃度の水銀と鉛も検出された。
おすすめの記事
おすすめの記事
ネスレ、プラスチックごみの製造元トップ3に
このコンテンツが公開されたのは、
国際環境NGOグリーンピースによると、スイスの食品大手ネスレはコカ・コーラやペプシコに並び、世界で見つかるプラスチックごみの3大製造元だ。
もっと読む ネスレ、プラスチックごみの製造元トップ3に
おすすめの記事
知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
このコンテンツが公開されたのは、
ハンス・リンギエ財団は9日チューリヒ在住の作家アドルフ・ムシュグさん(91)に欧州政治文化賞と賞金5万ユーロ(約860万円)を授与した。同賞がスイス人に授与されるのは初めて。
もっと読む 知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
おすすめの記事
スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
このコンテンツが公開されたのは、
米国がスイスに課す39%の「相互関税」をめぐり、スイス政府は4日、米国との協議を続け「より魅力的な提案をする」と表明した。
もっと読む スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
おすすめの記事
トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
このコンテンツが公開されたのは、
米国はスイスに課す相互関税率を39%と発表。スイス政府は「大変遺憾に思う」と表明した。
もっと読む トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
おすすめの記事
スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。
もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
おすすめの記事
温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。
もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
おすすめの記事
アルプスに新しい巨大地上絵が登場
このコンテンツが公開されたのは、
世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。
もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
おすすめの記事
スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。
もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
おすすめの記事
欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
このコンテンツが公開されたのは、
欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。
もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
続きを読む
おすすめの記事
きれいなスイスの地下水 だが楽観視は禁物
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの水道水やその大部分をまかなう地下水は、良質できれいな状態が保たれている。しかし連邦環境省環境局は今後の汚染を懸念している。
もっと読む きれいなスイスの地下水 だが楽観視は禁物
おすすめの記事
リサイクルでトップクラスのスイス、でもゴミの排出量も
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの消費者が出すゴミの量は増加傾向にあるが、リサイクルの成績も欧州では依然としてトップだ。欧州連合統計局(ユーロスタット)が明らかにした。
もっと読む リサイクルでトップクラスのスイス、でもゴミの排出量も
おすすめの記事
ネスレ、プラスチックごみの製造元トップ3に
このコンテンツが公開されたのは、
国際環境NGOグリーンピースによると、スイスの食品大手ネスレはコカ・コーラやペプシコに並び、世界で見つかるプラスチックごみの3大製造元だ。
もっと読む ネスレ、プラスチックごみの製造元トップ3に
おすすめの記事
ヌーシャテル、2019年からレストランでストロー使い捨て禁止
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部のヌーシャテル市では、2019年からカフェやレストランでのプラスチックストローの使用を禁止する。廃プラスチックを削減する動きは世界的に広がっており、ストローの禁止はスイスでは初めて。
もっと読む ヌーシャテル、2019年からレストランでストロー使い捨て禁止
おすすめの記事
スイスの大量のプラスチックごみ リサイクル率の低さはなぜ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは他の欧州諸国と比べて3倍ものプラスチックを消費する一方で、リサイクル率は3割も低い。ただ、欧州連合と中国のリサイクル事情の変化に伴い、スイスの状況もまた変わりつつある。
もっと読む スイスの大量のプラスチックごみ リサイクル率の低さはなぜ?
おすすめの記事
食品中にナノ粒子が見つかる 健康へのリスクは未知数
このコンテンツが公開されたのは、
フランス語圏のスイスで実施された試験的な調査で、食品の4分の1以上にナノ粒子が含まれていることが明らかになった。このような粒子は添加物や着色料という形で食品に含まれ、健康に与える潜在的なリスクはまだ明らかになっていない。…
もっと読む 食品中にナノ粒子が見つかる 健康へのリスクは未知数
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。