ビスフェノールA(BPA)はリサイクル可能なペットボトルやおもちゃ、食品包装などさまざまな製品に含まれている
© Keystone / Christian Beutler
欧州連合(EU)の欧州環境機関(EEA)によると、環境ホルモン(内分泌攪乱物質)の1つ「ビスフェノールA(BPA)」の体内含有量が安全基準値を超える人がスイスでは71%に上る。
このコンテンツが公開されたのは、
欧州食品安全機関は4月、消費者にとって安全と考えられるBPAの1日当たり最大摂取量を大きく引き下げた。これを受け、EEA(拠点・コペンハーゲン)が生体モニタリングを実施した。スイスなど欧州11カ国を対象に、2014~20年に成人男女2756人の尿からBPAと2つの代替物質(ビスフェノールS、同F)を測定。結果が14日に発表された。
超過割合はスイスの71%が最も少なく、フランス、ルクセンブルク、ポルトガルではサンプルの100%が閾値を超えていた。ただEEAは、超過割合は最低値に過ぎず、「実際には11カ国全てで超過割合が100%に達している可能性が高い」と強調した。
またBPAへの曝露は「許容される健康安全レベルをはるかに上回り、(略)何百万人もの人々にとって潜在的な健康リスクを表している」と断言した。
乳がん・不妊症の原因?
ペットボトルなどの多くのプラスチック製品に長期間存在するBPAはホルモンの乱れを引き起こし、乳がんや不妊症など多くの障害や病気を引き起こすリスクが指摘されている。
フランスなど一部の国はBPAの食品容器への使用を禁止する。EUや米国はBPAの使用を制限し、さらに抜本的に制限することも検討中だ。
BPAの安全な摂取量については議論が分かれている。EFSAはこれまで考えられていた数値の2万分の1に引き下げたが、これに対しては欧州医薬品庁(EMA)が異議を唱えている。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
続きを読む
おすすめの記事
遊泳禁止は過去の話 スイスのきれいな水
このコンテンツが公開されたのは、
漂う悪臭、魚の大量死、泳げないほど汚れた湖…。1950年代までスイスでは、排水が川や湖に垂れ流されていた。その後、事態は大幅に改善され、いまや下水道はほぼ全人口に普及するに至った。だが、新たな問題も生まれている。
今のスイスでは、川や湖の水はきれいなのが当たり前。水質に関しては模範的な国である。それゆえ、昔は川や湖に「遊泳禁止」の看板が立つほどの状態だったとは、にわかには信じがたい。
もっと読む 遊泳禁止は過去の話 スイスのきれいな水
おすすめの記事
見えないゴミ「マイクロプラスチック」汚染の真相を探る
このコンテンツが公開されたのは、
連邦工科大学ローザンヌ校(ETHL/EPFL)の環境研究者フロリアン・フォールさんは、ジュネーブの西を流れるローヌ川から採取したばかりの濁った液体の表面をピンセットの先で指しながら説明する。「これはプラスチック粒子。こ…
もっと読む 見えないゴミ「マイクロプラスチック」汚染の真相を探る
おすすめの記事
哺乳瓶からのBPA摂取量 予想外の多さ
このコンテンツが公開されたのは、
実際に乳児の体内で検出されたBPA量はヨーロッパ基準より低いものだったが、問題は長期にBPAを摂取した場合の研究がまだ十分ではないことだという。 主なBPA摂取経路は食品 透明なポリカーボネートのプラスチックの哺乳瓶に…
もっと読む 哺乳瓶からのBPA摂取量 予想外の多さ
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。