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ラジウム検出 スイスでラジウム検出 時計製造地域を詳細に調査

1960年に禁止されたラジウム夜光塗料。しかし1963年まで多くのアトリエで許可なく使用されていた

1960年に禁止されたラジウム夜光塗料。しかし1963年まで多くのアトリエで許可なく使用されていた

(Keystone)

放射性物質が2年前、時計製造地の一つ、ビエンヌ(ビール)市の建設現場で発見された。しかし、それが時計の文字盤などの夜光塗料として使用されたラジウム226だと連邦保健局が公表したのはつい10日前。地元住民をはじめ連邦議会議員たちの憤りが渦巻く中、同局はかつて時計が製造されたアトリエ60~80カ所の線量調査も行うと発表した。

 廃棄物の発見は2年前だが、連邦保健局からの公表は、ドイツ語圏の日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥングとフランス語圏の日曜紙ル・マタン・ディマンシュが記事にした後だった。 

 公表が遅れたことに衝撃を受けた地元住民は、ビエンヌ市が開催した説明会で、市の情報公開がうまくいっていないといった指摘や、住民からの信頼をどう回復するのかといった質問を投げかけた。

  これに対し市当局は、住民からのあらゆる質問に放射線防護の専門家が答える準備があると対応。連邦保健局も、今後ラジウムの廃棄物があると推測される場所の情報を地元住民から集めるためにサイトを設置した。

  また、来週17日にはもう一度連邦保健局など関係当局主催の記者会見が予定されている。 

 廃棄物が発見された地域のラジウム226の線量は、地表から1メートルの高さで、最高毎時0.9マイクロシーベルトを記録している。

国の反応

 この問題は国会でも波紋を広げた。今週初め担当省である内務省のアラン・ベルセ大臣が、下院議員からの質問に答え、ラジウムの廃棄物は建設現場から除去され、建設労働者の健康被害はない上、周囲の環境や住民への健康被害は「非常に少ない」と明言した。

  しかし、健康被害や汚染状況の分析・対策は今後も続け、詳細は公開されると約束した。除染費用の負担に関しては、「汚染者側が除染費用を払うのが原則だが、今回の廃棄物は、時計職人が自宅のアトリエでラジウムを使った後、家庭ゴミと一緒に捨てたもの。よって、汚染者として特定できないため、内務省の連邦保健局が創設する基金によって賄われる」と説明した。

時計製造のアトリエ調査

 一方連邦保健局は、ラジウムを含む夜光塗料をかつて使用していた時計製造のアトリエを詳細に調査すると発表した。

  これらは、1960年にラジウム使用が禁止された後も許可なくラジウムを使っていた時計職人のアトリエを中心にしている。それは、しばしば自宅の一部をアトリエに改造したもので、現在は普通のアパートになっていることが多い。

  スイス通信が調査したところによると、こうしたアトリエは、時計製造の中心地ビエンヌ、ヌーシャテル、ジュネーブ州、そのほかジュラ州、またソロトゥルン州のいくつかの自治体に広がっており、91棟の建物内にあるとされる。

  大手の時計製造会社に関しては、ラジウムを使用しなくなった時点で完全に除染を行ったと連邦保健局は強調している。

ガンを引き起こす可能性

 問題のラジウム夜光塗料は微小の粉末状で保管されるが、それが使用された際にアトリエの床板や壁に入り込んでいる可能性が高い。これは健康被害を引き起こす可能性がある。なぜなら、放射線(アルファ線)を出すラジウムは、半減期が1600年と長く、現在も放射線を出し続けているからだ。

  1年後には、アトリエの全調査を終了すると言う連邦保健局は、また、「現在把握している限りにおいて、こうしたアトリエの過去の住居者の健康被害は非常に低い」としている。しかし、前出の日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥングのインタビューに答えたある病理学者によると、「壁などに残っているラジウムはガンを引き起こし得る」と話している。また、同紙はガンで亡くなった元時計技師の家族とのインタビューも掲載している。


外電&スイスインフォ 構成 里信邦子, swissinfo.ch


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