スイスの開発援助団体、資金難に
プロテスタント系の開発援助団体「スイス福音教会救援機関(HEKS/EPER)他のサイトへ」は3月、3カ国の支援活動から撤退し、従業員6人を解雇したと発表した。
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同団体は近年全体的に活動条件が悪化したと指摘。「特に政治的な理由が大きい。人道団体の開発援助に対する批判が非常に大きくなった。だが我々からすれば事実無根だ」と話す。
これにはスイス主要10団体が加盟する南同盟(Alliance Sud)他のサイトへも同調する。マーク・ヘルケンラス会長は政治家からも支出削減を求められ、活動が難しくなっていると明かした。
同氏は「スイス外務省開発協力局の委託事業はどの国の団体でも応募できる。しかし、欧州連合(EU)での事業は対象がEUの団体に限定されているので、スイスの団体は不利な立場に置かれている」とスイス・ドイツ語圏の公共放送ラジオに話した。
イニシアチブが追い打ち
カトリック系慈善団体カリタス他のサイトへも同じく苦しい状況にある。広報のシュテファン・グリビ氏は、開発協力局の委託事業への申請はどんどん複雑になり、費用がかさむようになったと話す。「委託事業を獲得できなければ、当てにしていた資金が不足する」。だが委託事業を受ければ、原則としてとても短い期間に大規模で広範なプロジェクトを遂行しなければならなくなる。
資金獲得競争、支出カット圧力、他の国に比べて不利な立場。それに加えて、右派・スイス国民党が昨年打ち出した財政改革案が打撃を与えようとしている。開発援助への支出を削減し、国の老齢年金制度に充てるという案だ。同党は1月、イニシアチブ(国民発議)としての提案を検討していると表明した。
援助団体らはそんなイニシアチブが可決されるはずがないと確信している。政治家レベルの意思とは反対に、国民の間では援助団体への支持は絶大だからだ。民間からは安定して一定の寄付が集まる。

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