スイス国土をまんべんなくカバーする鉄道システム、そしてアルプスを横断する道路網。これらが国の交通予算の大部分を占めていると思うかもしれない。でも、本当にそうだろうか。
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最新の政府統計によると、スイスでは、人やモノの移動で最もコストがかかるのが道路輸送だ。しかも、車を持たない人たちも、そのコストの一部を負担する。
連邦統計局外部リンクによると、道路輸送(自転車を除く)は、年間900億フラン(約9兆9千億円)の輸送費全体の80%を占める。これには事故、環境汚染、インフラにかかる支出が含まれる。鉄道は12%、航空は7%、船は0.4%だ。
輸送にかかる予算は、車、飛行機、電車、徒歩などの手段を問わず一人当たり1万1千フラン。その大部分は利用者本人が負担する。直接関係のない一般市民も、交通手段などによって異なるが、輸送費の10~22%を負担する。
スイスは他の欧州諸国に比べ鉄道の総延長距離が長いが、車は依然として最も一般的な交通手段だ。国内通勤者の52%が車で職場に通う。
自動車は輸送手段の中で最も高額だが、道路輸送費は2010年以来で2%しか増えていない。当時から2015年までで鉄道が12%増、航空が14%増と右肩上がりなのに比べると差は歴然だ。また同期間で鉄道への投資、航空機の利用者数(27%増)が増えた。
外出しない人も、コストを生み出している。すべての輸送手段において、支出の4分の3は利用者本人によるものだが、残りの4分の1は商品の輸送が絡むものだからだ。
スイスの道路輸送は多額の費用が掛かる。だが関連する建物やインフラ整備に対する財政支出は、他国に比べかなり少ない。
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(英語からの翻訳・宇田薫)
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