介護士の仕事は重労働だ
© Keystone / Christian Beutler
労働組合ウニアが15日発表した調査外部リンクで、スイスの介護職に就いている人の約5割が定年前は仕事を続けられないと考えていることが分かった。劣悪な労働条件やストレス、ワーク・ライフ・バランスが欠けていることが背景にある。
このコンテンツが公開されたのは、
ウニアは老人ホームなど介護施設で長期にわたり働く介護士およそ1200人にアンケートを実施。47%が「おそらく定年までこの職を続けない」、34%が「(いつまで続けるか)分からない」と答える「憂慮すべき」結果となった。慢性疲労を抱えたり燃え尽き症候群に陥ったりする人は86%にのぼる。
主な理由としてスタッフ不足などの労働環境や健康問題、仕事上の身体・精神的ストレスが挙げられた。ウニアは記者発表で「回答者は30歳代以下が多く、この職に就いたばかりだ」と強調した。
総合して、87%は本来任務に十分な時間を充てられないと感じている。ある若い介護職員はドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)の番組外部リンク内で、この職業を続けたいとしながらも、事務処理作業が増えていることを明かした。
改善策は
ウニアは介護職の魅力を引き上げるために、スタッフの増員や労働条件の改善を訴える。ウニア介護部門の責任者サミュエル・ブーリ氏は「給料の引き上げ、シフト制の改善が必要だが、それには介護職や老人ホーム、介護施設など介護事業への財政支援を増やさなければならない」と話した。
スイス州健康局長会議外部リンクの副議長を務めるザンクト・ガレン州保険局のハイディ・ハンゼルマン局長はSRFの同番組で、回答者の6割以上が30歳未満だと説明した。企業はより現代に合った魅力的な労働条件を提供し、家庭と仕事を両立できるようにするべきだが、そうできている企業は多くないと話した。
スイス中央部オプヴァルデン準州エンゲルベルクにある老人ホームの院長はSRFの番組で、同州では適切な財政支援のおかげで十分な職員を確保できると述べた。一方で支援が足りずコストカットを迫られ、職員を削減するという悪循環から抜け出せない施設も知っていると話した。
おすすめの記事
スイス、軍事プロジェクトの品質管理を外注へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの17件の主要軍事プロジェクトが、2026年初めから外部コンサルタントによる監査対象となる。これにはF-35戦闘機の調達も含まれる。
もっと読む スイス、軍事プロジェクトの品質管理を外注へ
おすすめの記事
スイスで人気の赤ちゃんの名前、1位はエマとノア 2024年統計
このコンテンツが公開されたのは、
2024年の赤ちゃん名づけランキングで、女の子は「エマ」、男の子は「ノア」が1位を獲得した。
もっと読む スイスで人気の赤ちゃんの名前、1位はエマとノア 2024年統計
おすすめの記事
スイスの政治
スイス・ゲスゲン原発、再稼働はさらに半年延期
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北西部のゲスゲン原子力発電所の運転再開がさらに6カ月間遅れることになった。定期検査が行われた5月下旬以降、発電を停止している。
もっと読む スイス・ゲスゲン原発、再稼働はさらに半年延期
おすすめの記事
スイス、ロシア・ウクライナ首脳会談の「準備は万全」
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府のイグナツィオ・カシス外相は19日、ウクライナ情勢を巡る和平交渉について、スイスはロシアとウクライナの首脳会談を開催する「準備は万全」と述べた。
もっと読む スイス、ロシア・ウクライナ首脳会談の「準備は万全」
おすすめの記事
職場
スウォッチ、「つり目」広告を撤回 人種差別と炎上
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの時計大手スウォッチはつり目ポーズのモデルを使った広告を謝罪し、撤回した。中国を中心に人種差別的だとの批判が出ていた。
もっと読む スウォッチ、「つり目」広告を撤回 人種差別と炎上
おすすめの記事
世界貿易
トランプ氏、スイス大統領に金銭支払いを要求 関税発表前日の電話会談の詳細が明らかに
このコンテンツが公開されたのは、
スイスに対し39%の関税を発表する前日の7月31日、ドナルド・トランプ大統領がカリン・ケラー・ズッター大統領との電話会談で、米国への「投資」ではなく直接的な金銭支払いを要求していたことが分かった。大衆紙ブリック日曜版が報じた。
もっと読む トランプ氏、スイス大統領に金銭支払いを要求 関税発表前日の電話会談の詳細が明らかに
おすすめの記事
文化
ロカルノ映画祭、三宅唱監督「旅と日々」に金豹賞
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部で開催されたロカルノ国際映画祭で、三宅唱監督の「旅と日々」が最高賞にあたる金豹賞を受賞した。
もっと読む ロカルノ映画祭、三宅唱監督「旅と日々」に金豹賞
おすすめの記事
宇宙研究
国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献
このコンテンツが公開されたのは、
日本製とドイツ製のロボットが、国際宇宙ステーション(ISS)で「宝探し」をして遊んだ。スイス・ルツェルン応用科学芸術大学(HSLU)もこの実験に貢献した。
もっと読む 国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献
おすすめの記事
スイス中銀、新紙幣デザイン12案発表 一般投票募る
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)が、新フラン札のデザイン案12点を発表した。来月7日まで、インターネット上で一般投票が行われる。
もっと読む スイス中銀、新紙幣デザイン12案発表 一般投票募る
おすすめの記事
気候適応
ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブ州では13日、バスやトラム(路面電車)など公共交通機関が終日無料となった。オゾン濃度が急増したことへの対応で、スイスでは初めての措置だ。
もっと読む ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増
続きを読む
おすすめの記事
人材不足 、エンジニアや医療分野で深刻に
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでエンジニアや医療分野の人材不足がより深刻になっている。接客・サービス業では余剰感が強い。
もっと読む 人材不足 、エンジニアや医療分野で深刻に
おすすめの記事
スイスの訪問看護・介護サービス利用者増加
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで昨年、訪問看護・介護サービスの利用者数は、前年より1万人増の35万人だった。一方、老人ホームや介護施設の入居者数は14万9千人で横ばい。うち15%は短期滞在だった。
もっと読む スイスの訪問看護・介護サービス利用者増加
おすすめの記事
動物とのふれあいで活気 スイスの高齢者施設
このコンテンツが公開されたのは、
健康増進や記憶力の改善、入居者同士の会話のきっかけ作り。スイスのある高齢者施設で導入されたアニマルセラピーは、さまざまな効果を上げている。
もっと読む 動物とのふれあいで活気 スイスの高齢者施設
おすすめの記事
共に生きる 認知症患者の介護施設
このコンテンツが公開されたのは、
現在スイスには約15万人の認知症患者がいる。今後20年間にその数は倍増するといわれ、この病を患う人々のケアは早急の問題だ。そんな中、エメンタールのハスレ・リューグサウに認知症の人々が一緒に暮らす介護ホームがオープン。ここ…
もっと読む 共に生きる 認知症患者の介護施設
おすすめの記事
スイスの山奥を回る歯医者さん
このコンテンツが公開されたのは、
高齢者の中には歯の治療が必要なのに、人里離れた谷の自宅や老人ホームで暮らしているために歯医者に行けない人が増えている。そこで歯科医のミハエル・ケラーさんはスイス・ウーリ州の山岳地方を回り、患者の自宅を訪問したり、診療用に改造した自家用車のバンで患者の歯を治療したりしている。
もっと読む スイスの山奥を回る歯医者さん
おすすめの記事
多くの難題に直面する若年介護者
このコンテンツが公開されたのは、
親や親類が病気になった時、子供が介護に当たることがある。スイスでこのテーマについて初めて行われた調査によると、10〜15歳の子供のほぼ8%が若年介護者であり、これは今までの想定をはるかに超える数字だ。
もっと読む 多くの難題に直面する若年介護者
おすすめの記事
46.5兆円が無償労働に 6割は女性
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは2016年、無償労働に92億時間が費やされた。有償労働の79時間を上回る長さで、金銭換算で4080億フラン(46兆5000億円)に相当する。うち61.3%は女性が担っていた。
もっと読む 46.5兆円が無償労働に 6割は女性
おすすめの記事
終末期医療 ケアは行き届いているか?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの病院や老人ホームで死を迎える高齢患者の特別な医療ニーズが十分に満たされていないことが、スイス連邦科学基金が先月公表した研究でわかった。
もっと読む 終末期医療 ケアは行き届いているか?
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。