スイスのごみとリサイクル事情

ジュネーブの資源ごみ収集所。週末になると溢れんばかりのごみが集まる。 Keystone / Salvatore Di Nolfi

スイスの家庭から出るごみは一人当たり年間700キロを超える。世界的に見てもトップクラスの量だが、その半分以上はリサイクル回収されている。

このコンテンツは 2020/06/13 06:00

スイスのごみの量は、チェコ、日本、ポーランド、コスタリカの2倍だ。経済協力開発機構(OECD)によると、2018年のごみは全加盟国平均で一人当たり525キロ。スイスの705キロよりも多かったのはニュージーランド(781キロ)、デンマーク(771キロ)、ノルウェー(736キロ)の3国のみだった*。最も少ないのはコロンビアの240キロだった。

スイスのような面積が小さい国でごみの量が多いとなると、当然、広範なリサイクルシステムが発達する。スイスの家庭ごみは過去50年間で2倍以上に増加したが、同じ期間でごみの分別・リサイクル率も7倍以上に増え、2018年だけでも52%伸びた。スイスではごみの埋め立てを2000年に中止しているため、リサイクルされないものはすべて焼却されてエネルギー源となる。

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スイスの各州は1990年代に、家庭用指定ごみ処理袋を有料化し始めた。これにより人々は節約するためごみの仕分けをするようになったが、公共のごみ箱や、自然、国境脇に家庭のごみを捨ててお金を節約しようとする人は必ず存在した。イタリアとの国境に接するティチーノ州は2017年までごみ税を導入せず、フランスとの国境に接するジュネーブでは導入予定はない。

一般的に公共施設によるリサイクルは無料だ。ほとんどの自治体にはプラスチックやガラス瓶、空き缶、古紙、段ボールの回収場所が常設されている。また堆肥化できるごみなども、収集日に指定の場所に置けば回収してもらえる。スーパーでは通常、ペットボトルやプラスチック容器、バッテリー、浄水カートリッジ、電球などをリサイクルに出せる。鉄道駅では、紙、ペットボトル、空き缶のごみ箱が別々に設置されている。いくつかの店では飲料パックの収集を、電子機器販売業者は廃品のリサイクルを受け付けている。慈善団体は着なくなった衣料を収集し、ぼろ布は雑巾や断熱材の製造業者に回す。

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システムは何であれ、スイスのリサイクル意識は高い。ただし、回収率と実際のリサイクル(または再利用)率は区別する必要がある。例えば古紙・段ボールリサイクル協会によると、2019年にスイスの人々は古紙と段ボールの82%をリサイクルに出したが、実際に新しい紙製品に再利用されたのは68%に留まった。

飲料容器はリサイクル率が比較的高い。リサイクル率が75%を下回ると連邦当局が空き缶やボトルをデポジット制にする可能性があるためだ。 2018年のリサイクル率は空き缶・ガラス瓶が94%、ペットボトルは82%だった。スイスにある飲料ボトル製造者はこれらを再利用し、「R(リサイクル)-PET」というラベルの付いた新しいボトルを製造している。

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スイスの首都ベルン市では2018年9月から1年間、住民がリサイクル可能なものを色分けされたプラスチック袋に分け、自宅前のコンテナに入れて回収してもらう仕組みを試験導入した。種類ごとに異なる収集所に行く手間が省けるとして試験の参加者の85%が本格導入を期待。現在市議会で議論している。

ベルン市の試験事業には1300世帯が参加した Keystone / Lukas Lehmann

また、資源物が混在したリサイクル袋を有料で回収・分別してくれる業者もいる。プラスチックに特化したリサイクル業者もあり、小売店舗や自治体では通常受け付けてもらえないものも含め、あらゆる種別のプラスチックの有料で回収する。

* 2018年のOECD調査に米国のデータは含まれていない。 2017年の米国のごみの量は一人当たり743キロ

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