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企業パートナーシップ


ソーラー・インパルス 企業が支援する理由とは




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ベルトラン・ピカールさん(右)とアンドレ・ボルシュベルクさん(左)。ソーラー・インパルスの公式写真を使用する場合は、そこに映っている企業ロゴを消したり、修正してはならないと決まっている (Jean Revillard/Rezo.ch)

ベルトラン・ピカールさん(右)とアンドレ・ボルシュベルクさん(左)。ソーラー・インパルスの公式写真を使用する場合は、そこに映っている企業ロゴを消したり、修正してはならないと決まっている

(Jean Revillard/Rezo.ch)

ベルトラン・ピカールさんは今、大忙しだ。太陽光エネルギーで飛ぶ飛行機「ソーラー・インパルス」プロジェクトで注目を浴びているからだ。機会さえあれば、スポンサーたちはこぞって、この世界記録保持者である飛行家のもとへと押しかける。なぜスポンサーやパートナー企業は、これほどプロジェクトを重要視するのか。

 ピカールさんとアンドレ・ボルシュベルクさんの太陽エネルギー飛行機「ソーラー・インパルス2(以下、Si2)」が、6月上旬にお披露目された。2015年にはその飛行機で世界一周をする予定だが、今二人が直面している課題は、技術的な問題だけではない。Si2の主要パートナーの一部が、現在のパートナーシップにあまり満足の表情を見せていないようなのだ。

 「メディアに比べて、我々はそれほど特別扱いされていない。我々に対するケアがもう少しあってもよいのではないか」と関係者の一人が言うと、「確か年次総会か何かで、年に3回はピカールさんとお会い出来る機会があったはずなのだが」と、その同僚が続ける。

 そして彼らは、パートナー企業である自分たちの会社が、前回のイベントで充分な露出があったかどうかについて問い始めた。ビジネス界やメディア関係者の、何百人という人々が注目するイベントのことだ。

 「(飛行機の)どこに企業ロゴを入れるか、一体どうやって決めたのだろう。我々のロゴがちゃんと見栄えがする場所に入っているのかも知らない」「ジャケットも、指定のものを着用していなかった!」と、彼らは憂慮する。

 高額のプロジェクトはスポンサーの助けが無ければ、通常は実現不可能だ。「ソーラー・インパルス」プロジェクトも他に漏れず、企業パートナーシップと個人スポンサーによって成り立っている。このプロジェクトの生命線だ。

 「主要パートナー企業には、各々1~2千万スイスフラン(約11億~22億円)の資金提供と、(各パートナー企業の)専門分野での援助をしてもらっている。例えばエンジニアの派遣、技術サポート、資材、保険、コミュニケーション分野などでだ」と、プロジェクトを運営するソーラー・インパルス社は説明する。ちなみにソーラー・インパルス・プロジェクト全体の費用は1億5千万スイスフランだ。

 そこまでの援助をしてまで企業がパートナーであり続けることのメリットは、一体何なのか。パートナー企業たちは一体どのようにして、こうした「投資」のリターンを確保しているのか。

企業のイメージ操作

 チューリヒのビジネス心理学者クリスチャン・フィヒター氏によれば、パートナーやスポンサーになるということは、ほとんどの場合、企業のイメージ操作のためだという。

 「プロジェクトがもっているイメージを、企業に結び付けようとしているのだ。プロジェクトが技術的に洗練された、未来を担う、革新的で社会的利益の高いものであると世間的にみなされていれば、そのプロジェクトを協賛している企業にも、同じイメージがつく」とフィヒター氏。

 わかりやすい例としては、ハイテクで高級志向の自動車メーカーがF1のスポンサーをしたり、通信サービス会社がスイスの有名な祭り「ストリート・パレード」を協賛したりすることが挙げられる。企業の名前が多くの人の目に触れる機会は、繰り返し接すると好感度や印象が高まるという「単純接触効果」を起こす。見込み顧客を得られる絶好のチャンスなのだ。

 「世間で評判の良いイベントで企業の名前を定期的に露出することは、企業の好感度アップにつながる」とフィヒター氏。

 スイスの銀行最大手UBSにとっても、世界中でレースが開催されるF1は、知名度アップに最適なイベントだ。UBSはまた、21年前からアート・バーゼルのスポンサーでもある。これは芸術作品に投資をする裕福な顧客向けに、UBSが独自のサービスを提供する際に役立っている。

 また、スイスの高級時計ブランド「ウブロ」の名が、先日開催されたサッカーW杯ブラジル大会の公式タイムキーパーとして多くの人の目に触れたのは記憶に新しい。

スポンサーになるということ

 ソーラー・インパルス社には、スイスの高級時計メーカーであるオメガを含む、五つの主要パートナーがいる。

 「もちろん、飛行機体の企業ロゴや、ソーラー・インパルス社主催のイベントでの露出で、オメガの認知度は上がる」と、オメガは認める。また、パートナーシップは相互利益を生み出すという。

 同社はさらに「我々はブランドが持つ世界的知名度を使って、プロジェクトへの注目を高めている。また、培った専門的技術を時計製造以外の場面で生かす機会も得ている」と続ける。実際、オメガはソーラー・インパルスのチームが飛行準備をする際の試験台を開発した。さまざまな条件下におけるソーラーパネルの性能を分析するためのものだ。

 主要パートナーとして名を連ねる、スイスの電気技術会社ABBはしかし「パートナーシップは企業の利益のためではない」と、スイスインフォの問い合わせにEメールで回答する。ABBの広報担当アントニオ・リギ氏は、広報でよく使われる用語を慎重に選びながらこう説明する。

 「このプロジェクトにはABBが賛同できるビジョンがあり、それを成功させるために技術面でのパートナーシップを組んでいる。我々はこのプロジェクトに関われることを、とても誇りに感じている。今を快適にし、将来の安全を確保するため、これまで以上に世界中でクリーンエネルギーが必要とされている」とリギ氏。ABBは他にも博物館でのイベントや知的障害者のスポーツ参加を支援する「スペシャルオリンピックス」など様々な催しに関わっている。

知名度

 結局のところ、パートナー企業がプロジェクトに貢献することで得られる対価は何なのか。

 「知名度、そして成功。スキャンダルは無し」とフィヒター氏は言う。「知名度を得るのはたやすいことだ。いろいろな場所にポスターをばらまきさえすればいい。時に、もう少し控えめの方が良いのでは、と思うこともあるが」

 スキャンダルを免れることは非常に難しい、とフィヒター氏は続ける。「数年前、自転車競技で選手がドーピングを使用している問題が表面化した際、多くの企業がスポンサーを止めてしまった」。

 そして最も難しいのはプロジェクトを成功させることだ、とフィヒター氏は言う。

 もちろん、「勝者」のスポンサーになることは企業に良いイメージをもたらす。しかし、その勝者を選び出すのは簡単ではない。Si2のケースでも、このプロジェクトが必ず成功するという確証はどこにもない。それでも、多くの企業は、太陽光だけで飛行するというSi2の壮大なプロジェクトに、明るい未来を見ているのだ。


(英語からの翻訳・編集 大野瑠衣子), swissinfo.ch

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