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スイスのビール業界不振の中、地ビールが人気

地ビールの売れ行きは好調 Keystone

スイスではビール産業が不振にあえいでいる。そんな姿を尻目に、地ビールの売れ行きは大躍進だ。

このコンテンツは 2005/06/06 13:55

その土地ならではの地ビールの人気は、年々上がっている。大企業から中小企業まで、100を数える生産者が、豊穣な味の地ビールで人々の喉を潤している。

地ビールの生産は、年を追うごとに増加している。昨年は、ビール生産全体の約3億6000万�gのうち、5.5%を占める地ビールがスイス人を酔わせた。首都ベルンの北40km、ソロトゥルンで開催される地ビール祭では、20の中小企業や共同体が出展する200種類ものビールが味見できる。ここの盛況ぶりが、地ビール人気の証明となるだろう。

小麦でできたビールから黒ビール、生ビールはもちろん、季節物のエールビールまで選り取りみどりだ。アルコールの強さも芳香な香りも普通ではお目にかかれないものばかり。連なる出店の1つをのぞいてみた。

ジェローム・レベテさんは何種類かの地ビールをフランシュ=モンターニュという地方から運んで来た。小麦でできた「ラ・サラマンドル」(La Salamandre・伝説のサンショウウオ)、黒ビールの「ラ・トルピイル」(La Torpille・魚雷)、蜂蜜と香草を発酵させた「ラ・ドラゴンヌ」(La Dragonne・ドラゴン)」。これは、60度の温度で飲むのがお勧めの「ビール版熱燗」だ。

しかし、このビールの祭典で金メダルを取ったのは、レベテさんの生きの良い冬ビール、「ラ・マンドラゴール」(La Mandragoreマンドラゴールという植物の一種)だった。これはマンドラゴールのつぼみの味がする。

「10年前だったら、フランシュ=モンターニュの地ビールなんて見向きもされなかったでしょう。でも今は普通では売っていない、何か特別な、味わいのあるものとして歓迎されます」とレベテさんはスイスインフォのインタビューに応えた。

地ビールの一人勝ち

レベテさんが地ビールビジネスを始めたのは8年前、テレビの地ビールコンクールで優勝したのがきっかけだ。この時に優勝を飾ったビールを、今では年10万本出荷している。「大企業だったら2時間でできてしまう量ですが、私にとっては丸々1年かかる大仕事です」とレベテさんは語る。「私たちのような小規模な生産者にとって、消費者の皆さんの希望に応えるのはなかなか大変ですが、それでも最近の地ビール人気によって状況も改善してきています」

地ビールの生産が活況に沸く一方、スイスのビール業界は全体としてゆっくりと落ち込んでいる。ハイネケンやカールスバーグ系列など、有名な銘柄が所属するスイス・ビール協会によると、この15年間、ビールの生産は低下を続けている。今年の第1四半期の生産を見ても、すでに7%も低下した。

スイス人は1990年には年間1人あたり71�gのビールを消費していたが、2004年にはわずか同57�gまで落ちこんだ。これは欧州でも最も低い数字だ。

地ビールビジネスに飛び込んでみて

ソロトゥルン近郊でエーフィ・ビール醸造場を経営するアレックス・ケンツレさんは新しく地ビールの生産に乗り出した一人だ。

ミネラルウォーターを生産する会社の販売部長だったケンツレさんは、5年前に地ビールの世界に飛び込んだ。今では自分の醸造場で16万�gを生産し、さらに10万�gを他のところから取り寄せている。

彼は生黒ビールからスタウト・ビール、季節ビールやゴールデン・ビールなるものまで6種類のビールを生産し、ソロトゥルン近郊で販売している。

「皆さんに地ビールを身近に感じて頂けるよう、努力しています」ケンツレさんは語る。「今までのビールに、人々は飽きてしまったのではないでしょうか。それで何か目新しいものがあれば、よし飲んでみようと思う人が増えているのだと思います」

これはどの地ビール生産者も口にすることだが、地ビールビジネスで最も問題なのは、ビジネスを始めるための準備金だ。そして次に来るのが地ビールの醸造法を学ぶことだ。

「3番目は、どうやって苦労して作ったビールを売るかということでしょう。何しろ大手銘柄のビール会社をこぞって敵に回すわけですから。スイスにある99%のレストランは彼らのビールを置いています」

今後、レストランと大手との契約は期限付きに

このレストランと大手銘柄の強力な結びつきは、地ビール生産者にとって大きな不満だ。独占禁止委員会は去年12月、大手銘柄とレストランで交わされた無期限契約は、自由競争を妨げるという結論を下した。このため、今後、契約期限は5年間と限定される。

「大手銘柄のビール会社が地ビールの生産者を市場から締め出しているなんてことはありません」スイス・ビール協会副会長のパトリック・シェフリ氏は反論する。同氏は、地ビールは業界全体にとっての利益になっているという。「彼らのおかげで、私たちもユニークなビールや地域に根ざしたビールを作ろうとするようになりました。ビール業界全体に大変良い影響を与えていると思います」


swissinfo, アダム・ボモン(ソロトゥルンにて)、遊佐弘美(ゆさひろみ)意訳

キーワード

スイスのビール生産は年3億6000万�g。
カールスバーグ傘下のフェルトシュレッセン社の生産は、このうち半分以上の2億�gを占める。
ハイネケン社は8000万�gを生産している。

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