世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。
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スイス北部に位置するベツナウ原子力発電所はアーレ川の小さな人工島に建設された1号機と2号機で構成されている。1号機は1969年、2号機は1971年に稼働を開始した。
ベツナウ原発はライプシュタット、ゲスゲンの他の2つの原発とは異なり、冷却塔を備えていない。このため冷却水にアーレ川の水を使用している。
ベツナウ原発の2号機は2032年、1号機は2033年まで稼働する。
アクスポは、今回の決定は「広範な」検討の結果だとした。外部の専門家、サプライヤー、監督機関のスイス連邦核安全監督局(ENSI / IFSN)を加え、「すべての検討段階で安全性が最優先された」と述べた。
ベツナウ1、2号機の改修・近代化にはこれまで25億フランが投じられている。アクスポは「ベツナウ原発はも最も厳しい安全条件に準拠している」と述べた。
ベツナウ原発の年間発電量は約6テラワット時。4人家族の130万世帯分の消費量に相当する。
原子炉の運転免許には期限がなく、これまで具体的な停止日は決まっていなかった。ただ業界では少なくとも60年の耐用年数が想定されていた。
ベツナウ原発は64年の稼働期間を経て廃炉になる。
スイスで最も歴史が浅く、規模が最も大きいライプシュタット原発は1984年に稼働を開始。少なくとも2045年まで運転を継続できると想定されている。
スイスでは現在、原発の新規建設が認められていない。このため水力や太陽光など、再生可能エネルギーでの発電で賄う必要がある。
英語からの翻訳:宇田薫
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