世界最古のベツナウ原発
Keystone / Michael Buholzer
スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。
このコンテンツが公開されたのは、
おすすめの記事
おすすめの記事
「スイスのメディアが報じた日本のニュース」ニュースレター登録
スイスの主要メディアが報じた日本関連ニュースを要約した記事を毎週月曜日に配信しています。ご登録いただいた方には記事配信と同時に全文をメールでお手元にお届けします。
もっと読む 「スイスのメディアが報じた日本のニュース」ニュースレター登録
スイス北部に位置するベツナウ原子力発電所はアーレ川の小さな人工島に建設された1号機と2号機で構成されている。1号機は1969年、2号機は1971年に稼働を開始した。
建設中のベツナウ原発。1966年撮影
KEYSTONE/Str
建設中のベツナウ原発。1966年撮影
KEYSTONE/PHOTOPRESS-ARCHIV/Str
1968年3月1日、建設現場のオープンデーに来た人たち
KEYSTONE/PHOTOPRESS-ARCHIV/Grunder
原発の落成式に出席し、内部の様子を視察する連邦閣僚のエルンスト・ブルッガー氏(中央)。1970年5月11日撮影
KEYSTONE/PHOTOPRESS-ARCHIV/Str
燃料を初めて挿入。1971年6月23日撮影
KEYSTONE/Str
2011年5月、ベツナウ原発のそばを更新する反原発団体のメンバーら
KEYSTONE/Walter Bieri
2013年、原発のそばで抗議活動をする環境団体グリーンピースのメンバー
KEYSTONE/Steffen Schmidt
2024年5月の点検作業の様子。高圧タービン内をチェックする作業員
Keystone / Christian Beutler
2024年5月の点検作業の様子
Keystone / Christian Beutler
2024年5月の点検作業の様子
Keystone / Christian Beutler
ベツナウ原発はライプシュタット、ゲスゲンの他の2つの原発とは異なり、冷却塔を備えていない。このため冷却水にアーレ川の水を使用している。
ベツナウ原発のそばを流れるアーレ川
Keystone / Gaetan Bally
ベツナウ原発の2号機は2032年、1号機は2033年まで稼働する。
アクスポは、今回の決定は「広範な」検討の結果だとした。外部の専門家、サプライヤー、監督機関のスイス連邦核安全監督局(ENSI / IFSN)を加え、「すべての検討段階で安全性が最優先された」と述べた。
ベツナウ1、2号機の改修・近代化にはこれまで25億フランが投じられている。アクスポは「ベツナウ原発はも最も厳しい安全条件に準拠している」と述べた。
ベツナウ原発の年間発電量は約6テラワット時。4人家族の130万世帯分の消費量に相当する。
原子炉の運転免許には期限がなく、これまで具体的な停止日は決まっていなかった。ただ業界では少なくとも60年の耐用年数が想定されていた。
ベツナウ原発は64年の稼働期間を経て廃炉になる。
スイスで最も歴史が浅く、規模が最も大きいライプシュタット原発は1984年に稼働を開始。少なくとも2045年まで運転を継続できると想定されている。
スイスでは現在、原発の新規建設が認められていない。このため水力や太陽光など、再生可能エネルギーでの発電で賄う必要がある。
英語からの翻訳:宇田薫
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
続きを読む
おすすめの記事
ベツナウ原発50年 時代の革命児から問題児へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで原子力発電が商用化されたのは50年前、スイス初の原子力発電所、ベツナウ第1原発が稼働した年だ。今も稼働する原子力発電所としては世界最古の原子炉の一つだ。
もっと読む ベツナウ原発50年 時代の革命児から問題児へ
おすすめの記事
スイスのベツナウ原発、熱波から魚守るため出力低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・アールガウ州のベツナウ原子力発電所は、冷却水を引くアーレ川の水温が魚にとって危険なレベルまで上昇するのを避けるため、出力低下を余儀なくされている。
もっと読む スイスのベツナウ原発、熱波から魚守るため出力低下
おすすめの記事
世界最古のベツナウ原発が3年ぶり稼動
このコンテンツが公開されたのは、
電力会社アクスポは20日、アールガウ州デッティンゲンにあるベツナウ第1原子力発電所が再稼動したと発表した。数日内にフル稼働する。当面、原子炉以外の部分から蒸気が発生するが、住民や周辺環境への危険はないという。
もっと読む 世界最古のベツナウ原発が3年ぶり稼動
おすすめの記事
世界一古いベツナウ第一原発、圧力容器の壁の欠陥は製造過程で生じたもの
このコンテンツが公開されたのは、
世界一古いスイスのベツナウ第一原発の原子炉圧力容器の壁上部で発見されていた材質の不規則性は、稼動中ではなく、圧力容器の製造過程で生じたものだとの見方を13日、電力会社アクスポ(Axpo)が示した。
47年間稼動していた世界最古のベツナウ第一原発は2015年3月から稼動を一時停止しているが、同年の夏、圧力容器の壁の材質に不規則性が見つかった。約925箇所でみられるその欠陥は中性子線に最もさらされている圧力容器の上部で発見された。
アクスポにとって、この欠陥は1965年に圧力容器が製造された頃から認識されており、当時許容範囲とされてきたものであることは疑う余地がなかったという。そのことを証明するためアクスポは、同圧力容器を製造した仏ル・クルーゾ社(Le Creusot)の製造条件の下、複製模型を英国で作らせた。
もっと読む 世界一古いベツナウ第一原発、圧力容器の壁の欠陥は製造過程で生じたもの
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。