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ドイツ政府 非合法に入手された銀行顧客情報の買取へ?

ショイブレ独財務相はスイスの銀行情報をどう取り扱うべきか。意見は2分している Keystone

買うのか、買わないのか。ある情報提供者がドイツの州当局に対し、スイスのヤミ口座1500口座に関する情報を有料提供すると申し出た。アンゲラ・メルケル独首相は2月1日、脱税捜査に利用するため、この盗難データの買い取りに賛意を表明した。

ヴォルフガング・ショイブレ独財務相の広報官ミハエル・オファー氏も同日、ドイツはリヒテンシュタイン脱税事件 ( 右欄参照 ) と同じ姿勢で意思決定を行うと述べた。
 

合法性を明らかに

 「しかし、まだ決定が下されたわけではない。まずは、その合法性を明らかにしなければならない」

 ドイツの中道の各政党が躊躇 ( ちゅうちょ ) している中、野党は脱税者を取り締まるため、非合法の情報の入手にすでに賛成の態度を表明している。問題となっている顧客情報は、氏名不詳の情報提供者がノルトライン・ヴェルトファーレン州ヴッパータール ( Wuppertal ) の脱税調査局に対し、スイスのヤミ口座1500口座に関する書類の有料提供を申し出たもので、1月末に明らかになった。

 ドイツの日刊紙「フィナンシャルタイムズ・ドイチュラント ( Financial Times Deutschland ) 」によると、これらの情報の出所はイギリスの大銀行HSBC。だが、問題の口座がスイスのどの金融機関の所有であるのかは今のところ不明だ。捜査関係者は、情報提供者が250万ユーロ ( 約3億円 ) を要求しているこれらの盗難データを入手すれば、総額およそ1億ユーロ ( 約126億円 ) がドイツの国庫に戻ってくると試算している。

 スイスの連邦財務省 ( EFD/DFF ) の発表によると、ショイブレ独財務相は1日朝、スイスのメルツ財務相と電話で話し、ドイツのノルトライン・ヴェルトファーレン州当局に対してスイスの銀行の顧客情報を有料提供するという申し出があったことを正式に伝えた。一方のメルツ財務相は、盗難データを元とする捜査への協力は行わないこと、しかし新しい租税協定において脱税問題に関する協力を緊密化する準備があることをショイブレ独財務相に伝えたという。

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2006年から2008年にかけて、リヒテンシュタインの「TGTリヒテンシュタイン銀行 ( Liechtenstein Global Trust ) 」の元行員がドイツ人のヤミ口座情報をドイツの秘密情報機関に売り渡した事件。

脱税者の中には郵便事業大手の「ドイツポスト ( Deutsche Post ) 」のクラウス・ツムヴィンケル元会長もいた。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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