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マッターホルンの夢 箱根写真美術館で開催中

「マッターホルンの夢」の展示から

日本といえば、「富士山」を思い浮かべるように、スイスといえば「マッターホルン」を思い描く人が多い。しかし、マッターホルンのイメージは日本にも多く点在している。

日本におけるマッターホルンの大きな存在に着目したスイス人写真家2人が「マッターホルンの夢」と題して、この山に隠された意味を探るユニークな試みの写真展が箱根で開催中だ。

 スイス人写真家、ユルゲン・クルーシェ氏とアンドレアス・サイバート氏の写真とともに、日本人旅行者が撮って来たマッターホルンの記念写真など合わせて展示することで、日本とスイスの交差した視線が面白い。展示は箱根写真美術館ほか、箱根の9つの場所で観ることができる。

 このプロジェクトの始まりはスイス観光局が行なったスイス写真コンテストで応募写真の2割がマッターホルンの写真だったことだ。これに対する「何故だろう」との疑問から始まった。

街角のマッターホルン

 スイス側もこのマッターホルンのイメージをスイスと同義語に利用しようともくろんでいるようだ。マッターホルンの雪を被った姿はスイス産のハーブキャンディーの包装や色鉛筆の箱などに描かれ、スイスの象徴として売り出されている。

 しかし、それだけではない。サイバート氏が日本における「マッターホルン狩り」をしたところ、至る所にこの山の姿が見つかった。ショーウインドーやポスターだけでなく、マッターホルンと言う名のパン屋からコンサルティング会社までその形は様々だという。「僕の住んでいる東京の経堂にまでマッターホルンの写真を飾るショーウインドーがあったのです」と笑う。

富士山VSマッターホルン

 このアルプスの国の山に対する日本人の執着にサーバート氏は3つの理由を挙げる。1つは日本には特別な山、富士山があること。2つは神道の伝統で自然との繋がりが欧州とは違うこと。3つ目は富士山の男性的なイメージに対してマッターホルンは女性的で対照的なのではないかという分析だ。(日本人は富士山の連れ合いとしてマッターホルンを選んだ?)

 サイバート氏の日本におけるマッターホルンの写真には確かに外国の視点が感じられ、興味深い。サイバート氏が深く実感するのは「スイスと日本で大きく違うのは山に対する敬意の種類が違う」ということ。「スイスでも、山小屋などに泊まると、山にまつわる伝説などを聞きますが、日本では宗教的な次元が加わるのが違いではないでしょうか」

マッターホルン36景

 もちろん、展示にはスイス本場のマッターホルンの写真も満載だ。スイス観光局が選んだ写真コンテストの選考とは違う「日本の視点を感じる」写真が選ばれた。「ユーモアのあるもの、うるさいもの、静かなものなど『魅力的』という言葉が選ぶキーワードでした」とサイバート氏。展示はマッターホルンを歩く、見る、食べるといったカテゴリーに別れ、周りからだんだん近づいていくようになっている。

 この他、葛飾北斎の『富獄三十六景』をもじって、『マッターホルン36景』が選ばれた。これはアンディー・ウォホールの作品のように、1枚のパネルに36枚の作品が構成されているものだ。不思議なことに撮影者がそれぞれ違うにも関わらず、湖を前に撮った構図や角度まで同じものが集合する。「人々は旅行する前からあるイメージを抱えて旅に出て、それを探しに行くようです」とサイバート氏。

 富士山の見える箱根にて、マッターホルンに出会えるという企画はなんとも面白いではないか。「次回はスイスのツェルマットで富士山の写真展をやりたい」と企画者の夢は広がる。


swissinfo、 屋山明乃(ややまあけの) 東京にて 

補足情報

- 写真展「マッターホルンの夢(Matterhorn Dreams)」は箱根写真美術館で4月1〜30日まで開催。写真はこの他、箱根湯本駅、箱根暁庵(蕎麦屋)、富士屋ホテル、彫刻の森美術館、箱根強羅公園、早雲山駅、成川美術館、箱根ホテル、函嶺・ふる里集蔵館にて展示される。

- アンドレアス・サイバート氏(36歳)は東京在住のドキュメンタリー写真家。デザイナーの奥さんと共に8年前に来日し、米誌ニューズ・ウィーク、米誌GEOやスイスの各雑誌や新聞社で活躍中。同氏が撮ったジェンキンス氏の写真は2005年12月の英週刊誌TIMEの表紙を飾った。

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箱根写真美術館の開館時間:9〜17時、木曜休館。入場料400円。

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