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増える傷害事件、自殺、コカイン取り引き

スイスに流れ込むコカインの量は大幅に増えている vario-images

連邦司法警察省警察局 ( fedpol ) は7月24日、2007年の犯罪統計を発表した。それによると、昨年発生した犯罪事件の総数は27万9274件と2006年より3.1%少なく、3年連続して減少した。しかし、凶悪犯罪は増加の一途をたどっている。

また、自殺件数も増加し、麻薬の押収量も全体に増えている。麻薬で特に目立つのはコカインで、2007年にはこれまで最高の404キログラムが押収された。

当局を脅迫

 犯罪の中で最も多いのは窃盗で約24万件に及ぶ。しかし、増加が目立つのはより凶悪な事件だ。殺人事件は203件と前年より2.5%増加。最も多く使われたのはナイフなどの凶器で、それに銃器が続く。傷害事件も1998年から増加が続いており、2007年は前年比4%増で9644件を数えた。

 強姦も前年よりやや増加して648件、その他の性犯罪は6.2%増の3767件となった。強盗および強盗未遂は13.7%もの増加だ。

 未成年者の犯罪件数は横ばいで全体の約5分の1を占める。外国国籍を持つ容疑者はおよそ半数に上り、前年より増加した。

 16.6%と大幅な増加が見られたのは当局や公務員に対する脅迫で1643件に及んだ。うち1505件の犯人は男性で大多数を占める。未成年者は159人、外国人もおよそ3分の1を占めた。

 さらに自殺者の数も、2006年の1467人から1794人に増加した。自ら命を絶った男性は女性のほぼ2倍。未成年者も27人を数えた。

マリワナ、コカイン、ヘロイン…

 増加は麻薬の押収量でも目立つ。2007年のコカイン押収量は約404キログラムと、これまでの最高を記録した。押収量が最も多いのはマリワナで3.53トン。484キログラムの大麻とともに前年より若干増加した。ヘロインの押収量はおよそ135キログラムで、前年に比べると約半減。だが、2007年8月にザンクトガレン州で押収された150キログラムものヘロインはこの中に含まれていない。合成麻薬ではLSDが増加。アンフェタミンやメタンフェタミン、エクスタシーなどは減少している。

 麻薬取り引きで最も多く告発されたのはコカインを扱った事件だが、消費量が飛び抜けて多いのはマリワナだ。そのあとにコカイン、ヘロイン、大麻が続く。麻薬取締法に反する違反行為は2007年全体で4万6957件報告された。うち3万7030件が麻薬乱用 ( 前年比5%減 ) 、2809件が麻薬取り引き ( 前年比14.6%増 ) 、そして麻薬密輸が183件 ( 前年182件 ) となった。

 麻薬中毒によって死亡した人の数は152人。前年に比べると21%の減少だ。ただし、この中にバーゼル・シュタット準州の統計は含まれていない。

swissinfo、外電

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