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新外相の優先課題はEUとの緊張関係解消



外務大臣は社会民主党の(SP/PS)のミシュリン・カルミ・レ氏から急進民主党(FDP/PLR)のディディエ・ブルカルテール氏へ交代

外務大臣は社会民主党の(SP/PS)のミシュリン・カルミ・レ氏から急進民主党(FDP/PLR)のディディエ・ブルカルテール氏へ交代

(Keystone)

スイス連邦議会の外交政治委員会は、新しく外務大臣に就任した急進民主党(FDP/PLR)のディディエ・ブルカルテール氏が欧州連合(EU)との緊張関係を解消することを期待している。

中道派はEUと安定した関係を、左派は「積極的な交渉」を望んでいる。

 「スイスはEUに対して攻勢を仕掛けなければ、交渉の余地がさらに少なくなってしまう」と社会民主党(SP/PS)のカルロ・ゾマルガ議員は憂慮する。

 「EUは企業や税金に関する協定に関して早急に要求を提示してくるだろう。個人的には遅かれ早かれ、スイスはEUと企業に関する包括的な協定を締結しなければならないと考えている」とゾマルガ氏は語る。

 しかし、外交政治委員会の右派議員は意見を異にする。「スイスはただ早急に率先してEUの法基準に従うべきではない。ブルカルテール外相はEUからの圧力に耐えられると思う」と語るのはキリスト教民主党(CVP/PDC)のピルミン・ビショーフ議員だ。

 また、「EU加盟国は、ブリュッセル本部が発令する新しい法律を自動的に引き継ぎ、欧州司法裁判所の裁判官を承認しなければならない。だが、それにスイスがどのように対処していくかが大きな問題だ。新外相には大きな重圧がかかっている」とEUに対して批判的な保守派の国民党(SVP/UDC)のクリストフ・メルゲリ氏は語る。

解決不可能な問題

 スイスでは、いくつかの州が外国のホールディング企業に対して税金の優遇措置を取っている。そのため、数年前からEUとスイスの間で争いの火種がくすぶっている。そこで、EUはスイスとの二者間協定をこれまでよりも順応性のあるものにしようとしている。つまり、EUの法律が改正されたときに、二者間協定も自動的に改正される。また、EUは二者間協定に関して法的な問題があれば、欧州司法裁判所で審理を行うことをを望んでいる。

 しかし、ブルカルテール外相はユーロ賛成派として知られていたため、EUの要求に反して激しく抵抗することはないとメルゲリ氏は判断している。

 これに対し、「EUとスイスの間の企業に関する法律問題を解決することは、不可能に等しい。なぜなら、スイスはEUの市場には参入したいがEU の法律改正を自動的に受け入れることはしたくないからだ」と急進民主党(FDP/PRD)のクリスタ・マルクヴァルター氏は否定的な意見を持つ。

 だがその一方で「スイスはEU市場に非常に関心がある。そのため、現状に上手く対応していかなければならないが、新外相は過去数年間にEUとの間に立ちはだかっていた難問を一挙に解決する可能性がある」と楽観視もする。

右派は経済を大きく評価

 2012年1月1日から急進民主党が外務省の指揮を執っているが、これは、1961年以来のことだ。昨年までの9年間は社会民主党の(SP/PS)のミシュリン・カルミ・レ氏が外務大臣を務めてきた。

 「外交政策では、自国の利益のためという意味で路線修正を期待している」と語るのは全州議会(上院)議員ピルミン・ビショーフ氏だ。「世界中の人々が説いている人権擁護や、人道主義を強調する政治はスイスにとってふさわしい。しかし、外交とは本来、利益を得るための政治でもある。私は外交政策の方向転換によって、スイスが経済分野において能力を発揮していくことを期待している」 

 また、「ブルカルテール外相が外交政策を系統立てていくことを期待している。これは残念ながら前外相の時代に無くなってしまった」とメルゲリ氏は語る。「今では政治は自ら良い行いをするという模範的なものから他者を非難するものに変化してしまった。スイスはイエローカードやレッドカードを出し始め、他国に警告や非難を浴びせた。これによってスイスが味方を作ることはなく、逆に初めて世界に敵を作ってしまった」

国連加盟による政治スタイルの変化

 「スイスは是が非でも控えめな外交をするべきだ。マスコミの前で政策を発表するような派手なやり方はスイスにとって有益ではない。他国との外交において、人知れず交渉していたときは常にうまく行っていた」とメルゲリ氏は説明する。

 「外交のスタイルが変化してしまったのは、カルミ・レ氏が(9年前に)外務大臣に就任する直前にスイスが国連に加盟したことと関係がある」とゾマルガ氏は語る。

 「カルミ・レ氏の外交の特徴は民主主義、人権主義、貧困撲滅を推し進めることだった。その際、経済的な利益団体の存在はあまり重要ではなくなったのだ」

多国間開発援助のために

 ソマルガ氏はまた「中道右派が外務省を引き継ぐことになった後も、カルミ・レ氏が築き上げた外交スタイルが残るよう願っている。我々はこの状況を注意深く見守っていく」と語る。しかし、これまでの左派の外交政策を右派陣営に理解してもらう好機にもなり得ると言う。

 これまでスイスが積極的に行ってきた開発協力は、人道主義を貫くスイスにとって重要な政策であり、二者間開発援助だけでなく多国間開発援助にも注目していきたいと急進民主党のマルクヴァルター氏は語る。

 スイスの援助によって学校や病院が建設されるのは誰にとっても喜ばしいことだ。しかし、例えば世界銀行に協力するといった多国間開発援助もスイスにとっては重要な政策だ。「スイスはこの分野において心強いパートナーであることをアピールできる。スイスは多国間開発援助を行うために同盟を作ることもできる」

連邦外務省(EDA/DFAE)

連邦外務省はスイス連邦政府の指示に従い、外交政策を行う。

連邦憲法に定義されているスイスの外交目標

・国民の平和的な共同生活

・人権の尊重および民主主義の促進

・外国におけるスイス経済の利益確保

・世界の困窮と貧困の軽減

・地下資源の維持

連邦外務省はベルンの中央機関と300以上の外交機関(大使館、派遣団、領事館、連絡事務所、調整機関)で構成されている。

インフォボックス終わり


(独語からの翻訳、白崎泰子) , swissinfo.ch


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