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スイスで広がる継承日本語教育

© KEYSTONE / CHRISTIAN BEUTLER
このコンテンツは 2018/11/24 07:00

外国で生活する子供たちが、現地語とは別に親の母語を学習する継承語教育。親子のコミュニケーションを図るうえで欠かせないが、母国語でも外国語でもない言語を習得するのはそう簡単ではない。多言語・多文化国家スイスでは、多くの外国人や移民を抱える州が継承語教育を奨励。日本人の手で運営される日本語学校・教室もスイス各地にあり、日本とスイスの相互理解を陰に陽に支えている。

継承日本語教育

海外に住んでいながら日本人の親や家族を持つ子供のための日本語教育。海外の大学の日本語学科で日本語を外国語として学ぶのとは異なる。国際結婚や海外赴任が増えるのとともに、日本語を継承語(Heritage language)として学ぶ生徒が年々増加している。家族が話す言語を学習し伝統文化に関する知識を深めるだけではなく、自分が何者であるのかという特に思春期に必要なアイデンティティの形成にも役立つ。また思考の幅が広がって現地社会に統合する能力が高まり、現地語や他の外国語など複数の言語能力を身につける基礎ともなる。

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 スイスに在住する日本人は約1万人。現在1020人が、日本政府が認可する日本語補習校や非営利の日本語学校・教室など計11校の継承日本語教育を受講できる機関に在籍している。

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一部の地域では州政府が継承語やその文化の習得を推奨している。州ごとに教育制度や支援度が異なるが、バーゼル他のサイトへチューリヒ他のサイトへベルン他のサイトへヌーシャテル他のサイトへなどの小・中学校では、州が認定する機関で継承語授業(HSK他のサイトへ/LCO他のサイトへ)を受講することが可能。受講した継承語の成績は、現地校の通信簿の所見欄に記述され、継承語学習への取り組みが評価される。

このような仕組みは、スイス各地で広がりつつあり、バーゼル他のサイトへでは日本語を含め40言語で継承語授業を受講可能となっている。複文化、複言語主義を理想とする欧州評議会の理念を受け継ぎ、「母語や母語文化を理解する能力を支援するのは、多言語を話す能力や異文化の理解力を向上し、スイス社会へ順応するのに有意義だ」という考えからだ。

母国語でも現地語でも外国語でもない難しさ

海外で生活していても自分の母語である日本語で子供と分かり合いたいと願う親は多い。だが日本語は現地語ではないため、生活環境や家庭事情によってはそう簡単なことではない。特に日本語を学ぶことが将来的に必須ではないと思われる子供にとっては、子供の年齢が上がり家の外で生活する時間が長くなるにつれ、日本語を身につける重要度は相対的に低くなる。一方で、年齢にふさわしい高度な日本語で会話したいという親の願いは強まり、そこにギャップが生じる。自然の流れだが大きな課題だ。

「例えば娘と日本の文学の話を日本語でできるのは本当に嬉しいこと。単に外国語を学ぶのとは違った喜びがあり、とても感情のこもった学習。しかし、継承日本語を教えることは親の力だけでは大変で、教育機関の助けが大きな力となる」。今から33年前、有志の日本人女性とともにバーゼル日本語学校他のサイトへを立ち上げたフックス清水美千代さんは、継承日本語の大切さをこう語る。現在も同校で教師を務め、スイス継承日本語教育機関連絡会も主宰する。日本とスイスの文化交流に貢献した功績で、今年の日本外務大臣表彰を受賞した。


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