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世界のエイズ感染者、過去最悪の4千万人に

アフリカに世界のHIV感染者の約7割が集中している。 Keystone

国連エイズ計画(UNAIDS、本部ジュネーブ)は世界保健機関(WHO,本部ジュネーブ)とともに世界のエイズウィルス(HIV)感染者は2003年で4000万人に達したとの過去最悪の推計を「2003年版エイズ年次報告」で発表。

毎年、12月1日のエイズデーに合わせてHIV流行状況を報告するUNAIDSはまた、2003年の新たなHIV感染者は500万人、エイズを発症して死亡した人は約300万人だったと報告。エイズ拡大が収まらないなか、各国政府の対応が必要だと訴えた。

世界のエイズ

 アフリカ南部では5人に1人がエイズ感染者か患者で女性が多く、患者の2%しか治療を受けていない。また、治療薬の提供がHIV流行の速さに見合っていないと指摘。UNAIDSは現在30万人の抗エイズ治療の受診者を2005年までに300万人に拡大することを目標にしている。

 同報告書は新しい感染地域に中国、ベトナム、インドネシア、ロシアなどを挙げており、感染者の80%が30歳以下の若者層であると指摘。

 昨年の年次報告ではエイズ患者数が4200万人と発表され、減少したようにな感じを受けるが、これはより正確な調査方法に変更したため。実際の感染患者が減ったわけではなく、感染が確実に拡大傾向にあると警鐘を鳴らしている。

日本、先進国唯一の増加国

 同報告書では日本の感染状況について1990年代と比較すると2倍になり、600人を超えたと指摘。HIV感染者の増加とともに、グラジミアなどの性感染症も増加しており、特に1995年以降は女性の感染が50%以上であるとしている。19歳になるまでにセックスを体験する若者の増加などに顕著なように若者の性交渉の拡大に関連があるとも記述している。先進国で増加傾向にあるのは日本だけだと見られる。

スイスのエイズ状況

 スイスは1990年代初頭にエイズ感染者のピークを達して以来、感染者数は減っている。連邦公衆衛生局の発表によるとエイズ感染者は人口の0,2%で2003年は10月まで244人の新しい感染者を記録している。このうち、女性感染者は79人。連邦公衆衛生局のゼルトナー氏によると多くは海外に出張中に性交渉を持ち感染したケースだと分析する。


スイス国際放送、 屋山明乃(ややまあけの)



- 世界のエイズ感染者は約4000万人(2002年は3950万人)。

- 2003年の新たなエイズ感染者は約500万人。

- 2003年にエイズ感染による死亡者数は約300万人(2002年は280万人)。

- 国連は世界のエイズウィルス感染は依然として拡大傾向にあり、各国政府の政治的イニシアチブが必要とされていると訴えた。

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