欧州の猛暑と日本の冷夏
ジュネーブに本部を置く世界気象機関(WMO)は16日、記者会見で2003年の平均気温は歴史上、3番目の暑い年になるだろうと発表。
具体的には1961年から1990年までの地球上の平均気温14度を0,45℃を上回り、北半球では0,57℃、南半球では0,33℃平均より高い気温となった。
着実な温暖化
なお、これまで観測が始まった1861年以来、最も暑い年は1998年の14,55℃で、続いて2位は2002年の14,48℃だった。20世紀に入って以来、気温は平均して0,6℃以上上昇し、1976年以来はこれまでの1世紀間に観測された上昇幅を3倍も上回るスピードで温暖化が続いている。北半球では1990年代は1000年間で最も暑い10年だった。
2003年の夏
2003年の6月、7月、8月は欧州の大部分を猛暑が襲い、ドイツ、スイス、フランスとスペインでは例年に比べて記録的な気温(通常より5度も高い)となった。40度を超える気温がフランス、イタリア、オランダ、ポルトガル、英国とスペインで記録され、猛暑による死者数は21万人以上と報告された。欧州アルプスでは暑さにより氷河の厚みが薄くなり、溶け出した河川の水位を3メートル押し上げる結果になった。氷河の縮小幅は1998年に記録したものの2倍に当たる。
日本の冷夏との関係?
会見で出された「日本の今年の冷夏は欧州の猛暑と何らかの関係があるのか?」という問いに対し、来年からWMO事務局長に就任するミッシェル・ジャロー氏は「日本、中国の北では7月、8月に例年より低い気温と長雨が観測された。地球上のある地域の熱波が他の地域の寒波と関連があることはよくある」と語った。
洪水と温暖化の関係
今年も世界中のあらゆる場所で多くの洪水が記録された。北半球では今世紀に入ってから洪水が増えていることは確かだが、この原因を直接、地球温暖化に結びづけるのは難しいと専門家は言う。
WMOと国連環境計画(UNEP)が地球の温暖化の問題を検討するために設置した「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の報告では「地球の温暖化で地球上の水の循環が増加する」と結論付けているが、ある地域の降水量の増加は結果的に、他の地域の砂漠化を加速することになる。地球上のどの現象が「温暖化の直接的な結果」とは断定できないものの、地球上のあらゆる現象が関連性を持っているのは確かなようだ。
スイス国際放送、 屋山明乃(ややまあけの)
2003年は地球平均気温は統計が始まった1861年来、史上3番目の暑い年となり、14,45℃を記録。
史上最高は1998年の14,55℃、続いて2002年の14,48℃だ。
暖かい年ベスト10は全て1987年以降に記録され、地球の温暖化が深刻化していることは間違いない。
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