スイスの航空会社、航空券の予約経費を運賃上乗せへ
経営再建中のスイス インターナショナル エアラインズ(略称スイス)は来年1月から、同社の航空券手配のサービスを代行していた旅行会社への業務委託を打ち切る。
これと並行し、スイスはインターネットや店頭販売などによる航空券の売り込みに本腰を入れるが、予約に掛かるコストは追加料金としてほとんどの航空運賃に上乗せする計画だ。
イージージェットなど欧州で台頭している格安航空会社との競争がし烈化する中、業績不振が続くスイスではコスト削減が急務の課題となっている。今回の措置もその一環。ただ、渡航者の航空券手配を得意分野としてきた旅行会社のビジネスを切り崩す形となっており、国内の旅行会社からは非難の声が上がっている。
激変する経営環境
今回の決定について、スイスは「航空業界が供給過剰にあることに加え、格安航空会社の台頭で経営環境はますます厳しくなっている。航空券の販売のあり方も含めた経営の効率化が欠かせない」と説明する。
同社は、旅行会社への業務委託打ち切りで年間どれ位の経費節減になるのか明らかにしていない。
一方、航空券の販売拡充を狙うスイスは、航空券の購入方法やその内容などによって価格が異なる新航空運賃の仕組みを導入する。例えば、インターネットで予約すると25フラン(約2,200円)。渡航期間の変更が可能なオープンチケットを購入すれば80フラン(約7,000円)になる見込みだ。
ただ同社によると、一部の破格の航空券については、こうした予約に掛かるコストを上乗せする予定はないという。格安航空券で顧客を確保し、新興の航空会社に対抗する狙いだ。
今回のスイスの動きに対し、国内の旅行会社は危機感を募らせる。ある旅行協会は、同社が市場シェアで圧倒的に有利な立場にあると指摘した上で、「競争上不利だ」と話している。
スイス国際放送 ウルス・ガイザー 安達聡子(あだちさとこ)意訳
スイス インターナショナル エアラインズは先月、2004年も再び赤字になる見通しだと発表した。
また、英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)との提携を解消。航空連合「ワンワールド」への加盟も取りやめると公表した。
同社は現在、資金繰り改善に向けて銀行と交渉を続けている。
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