クレディ・スイス、新CEOにウルリッヒ・ケルナー氏を任命
スイスの第2の銀行クレディ・スイス(CS)は27日、トマス・ゴットシュタイン最高経営責任者(CEO)が退任し、後任にウルリッヒ・ケルナー氏(59)が就くと発表した。トップ交代で信頼回復を目指すと共に、包括的な戦略の見直しを行う。
経営コンサルティングファーム、マッキンゼー出身のケルナー氏は、スイスではリストラの専門家として知られている。8月1日付けでCEOに就任する。
同氏は声明他のサイトへで「難しい仕事を負うことになるが、これは同時に、当行の将来を成功へと導き、その潜在能力を最大限に発揮させる絶好の機会でもある」と述べた。
ゴットシュタイン氏がCEOに在任した2年の間に、CSでは米投資会社アルケゴス関連の巨額損失など不祥事が相次ぎ、株価が急落したことで投資家からの怒りを買った。そのため、ここ数カ月はCEO交代の圧力がかかっていた。
同氏は2020年、ティージャン・ティアム氏の後任としてCEOに就任。ティアム氏が退任に追い込まれた内偵スキャンダルから徐々に回復しつつあった同行の「白紙化」を約束した。
しかし、問題は更にエスカレートした。CSは2021年、米アルケゴス・キャピタル・マネジメントの運用破綻による55億ドル(約7500億円)の損失と、経営破綻した英金融会社グリーンシル・キャピタルに関連する100億ドル規模のサプライチェーン・ファイナンス(SCF)ファンドの閉鎖を公表した。この一件により経営陣の更迭、調査、増資が行われ、更なる損失と新たな訴訟事件が発生した。
「重要な局面」
CSは2021年4月、グリーンシル関連のSCFファンドの閉鎖を受けて分離した資産運用事業の責任者にケルナー氏を招いた。
ケルナー氏は以前、クレディ・スイス・ファイナンシャルサービスの上級幹部として、スイスの事業を運営していた。競合行のUBSに移籍した2014年から2019年は、アセット・マネジメントを運営。2019年から2020年にかけてはCEOのアドバイザーを務めていた。
CSのアクセル・レーマン会長は声明で「クレディ・スイスの重要な局面において、この包括的な戦略見直しの監督に『ウエリ(訳注:ウルリッヒの愛称)』を新しいグループのCEOにとして迎えることをうれしく思う」と述べた。
CEOの交代を受け、27日朝のスイス株式市場でCS株は上昇して始まった。
英語からの翻訳:大野瑠衣子

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