スイスの公正取引委員会は、スイス大手時計メーカー・スウォッチ傘下の企業に対し、来年初めから競合他社への時計部品販売を一時的に禁止する決定を出した。スウォッチは同委員会を相手取り、損害賠償訴訟を起こすことを検討している。
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同委員会は18日、2020年1月1日からスウォッチ傘下の時計ムーブメント製造会社ETA外部リンクが受注する大手競合他社への製品販売を一時的に禁止する決定を出した。来年夏に再検討する。
スイス時計産業連盟外部リンクは、公取委の決定が「時計業界に多くの不安をもたらす」と懸念を表明した。
ジャン・ダニエル・パシェ会長はswissinfo.chに対し「私たちにとって重要なのは、スイスのブランドが必要な機械式ムーブメントを調達できる状態にあり、なおかつ時計生産の計画に十分な時間があることだ。複数のブランドとサプライヤーは、市場にスイスの機械式ムーブメントが不足していると訴えてきている。スイス製時計を生産するためにはスイス製のムーブメントが必要。この決定により、スイス時計のエキスパートが減ってしまうのではないかと懸念している」と電子メールで回答した。
しかし、公取委は市場への影響はそれほど大きくないと主張する。パトリック・デュクレ代表はロイター通信に 「時計ムーブメントが本当に不足するのか。それは不確かだ。半合法的市場もあり、ブランドは在庫を築いている」と語った。
事の発端は10年以上前、スウォッチが競合他社に時計部品の供給を停止する意向を公表したことにさかのぼる。スイスの時計業界では当時、ETAが重要な時計部品の製造を独占していたため、この決定は物議を醸した。
2013年、スウォッチは2019年末まで部品の供給を継続することで公取委と合意。しかし、その間に競合他社のSellita外部リンクが進出し、独自のムーブメントを開発。スウォッチは、公取委の今回の決定が「理解できず受け入れられない」とし、単に「市場を独占する新たなプレーヤー(Sellita)の立ち位置を強化するだけ」と批判した。
スウォッチによると、ぎりぎりになって公取委が今回の決定を出したことで、時計業界の対応が間に合わず混乱を招くとしている。
スウォッチは、公取委が「ETAを市場から効果的に排除している」と述べ、今後も許可される小規模企業への時計部品供給は「事実上不可能」だとした。
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