スイス新型コロナウイルス 第1波への連邦措置
スイスは新型コロナウイルス感染拡大の第2波に襲われている。第1波で連邦政府はどのように対応したか。10月までの政策を振り返る。
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コロナ第1波への対応
スイスでは2月下旬に初のコロナ感染者が報告されたあと、3月上旬に累計感染者が1千人を突破。3月16日に感染症法上の「非常事態宣言」が発せられ、食料品店など生活密着サービスを除くすべての商業施設が閉鎖された。
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スイスの新型コロナ1カ月 政府はどう対応したか
感染が一時収まったことを受け、4月27日以降、スイス政府は段階的に規制措置を緩和した。
<規制緩和第1弾>
4月27日から、美容院、マッサージサロン、美容サロン、ガーデニング用品店、ホームセンター、花屋など、個人向けサービスの店舗が営業を再開。歯医者、リハビリ医院、診療所も緊急以外の予約を受けられるようになった。スーパーマーケットと薬局は厳しい規制措置が講じられていた時も営業(必需品のみの販売)が許可されていた。
ただしソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)として、人同士の距離を2メートル空ける、衛生対策の順守を義務とした。
<規制緩和第2弾>
5月11日、義務教育の小中学校や幼稚園の休校が解除された。
その他、すべての店舗営業も再開した。当初6月を予定していた美術館、博物館、資料館、図書館も前倒しして再開した。
レストラン・バーは①テーブルにつき利用客は4人まで(親子は例外)②各テーブルの間隔を2メートル保つ、の2点を順守すれば営業可能とした。
一般のスポーツは①最大5人の小グループ(プロスポーツは5人以上も可)②体の接触がないという条件の下で練習が解禁された。
公共交通機関の運行ダイヤもほぼ通常に戻った。スーパーマーケットでの必需品以外の販売も解禁された。
基礎疾患持ちなど高リスク群に対する外出自粛要請は解かれ、高齢者施設への見舞いもこの日から可能となった。ただし、ソーシャルディスタンシング、衛生対策などのルールは守らなければならないとした。
宗教礼拝は5月28日から解禁された。
公園、広場、遊歩道など公共のスペースで6人以上が集まることは禁止されていたが、5月30日から上限を30人に引き上げた。イニシアチブ(国民発議)の提起に必要な署名集めは6月1日から可能になった。
スイス政府は6月4日、ソーシャルディスタンシング(対人距離2メートル)ルールに違反した人へ科される罰金100フラン(約1万1千円)を廃止した。この措置は感染予防対策の一環で、3月20日に導入された。
<規制緩和第3弾>
6月6日にプールや動物園、植物園、映画館、ディスコ、キャンプ場、観光鉄道、カジノ、風俗営業など全てのレジャー・観光施設を再開。高等学校や職業学校、大学のキャンパス上での授業も同日から再開した。
6月6日からは人数に関係なくすべてのスポーツのトレーニングが可能になった。シュヴィンゲン(スイス相撲)、柔道、ボクシング、ペアダンスなど体の接触を伴う競技も解禁されたが、トレーニングは固定チーム内に限り、メンバーのリストを控える。身体が密に接触するスポーツの試合は7月6日まで禁止などのルールが科せられた。また、登山列車などの観光交通が再開した。
6月8日、公私を問わず、300人以下であれば集まりが可能になった。また、欧州連合(EU)・欧州自由貿易連合(EFTA)市民の全ての居住申請を再開。スイス人・EU/EFTA市民以外の居住者も、外国に住む家族の(定住を目的とした)呼び寄せが再びできるようになった。
6月19日、ソーシャルディスタンシングの距離を2メートルから1.5メートルに引き下げた。また、在宅勤務の推奨を取り下げた。レストランやナイトクラブの法定閉店時刻は撤廃した。レストランに対する「客は着席のみ」のルールもなくなった。国内の病院などで支援をしていたスイス軍の任務は終了した。
6月20日、デモ活動に人数制限がなくなった。ただ参加者全員にマスクの着用を義務付ける。
6月22日、1千人以下のイベントが解禁された。
10日1日、1千人超のイベントも解禁された(州が開催の可否を判断)。
これまでの入国制限について
スイスは、リヒテンシュタインを除き、3月25日からシェンゲン域内、域外からの入国を制限し、スイス国民、スイスの滞在許可保持者、職業上の理由以外の入国は禁止していた。
5月11日から入国制限の段階的緩和が始まった。
・5月11日の緩和
まずは3月25日以前に届け出のあったEU・EFTA加盟国からの就労申請のプロセスを5月11日に再開。スイス人・EU市民の外国人家族の呼び寄せが再び可能になった。
・5月16日の緩和
ドイツやオーストリアとの間では5月16日から、国境を隔てて住む未婚のパートナー・家族の訪問、葬式・結婚式への出席を理由とした行き来ができるようになった。スイス、ドイツ、オーストリアの3国に不動産を持つ、農地や動物の世話を理由とした越境も可能だ。国境を通過する人は自己宣誓書への記入が必要。
・6月8日の緩和
6月8日から欧州連合(EU)・欧州自由貿易連合(EFTA)市民の全ての居住申請の処理が再開した。スイス人・EU/EFTA市民以外の居住者も6月8日から、外国に住む家族の(定住を目的とした)呼び寄せが再びできるようになった。
第3国市民の就労申請も、公共の利益があり、国外で作業を完了できないことなどを条件に解禁する。留学生も第3国を含め入国可能(ただし90日未満の学業は除く)。リスクの高い地域からの入国者は、体温測定や検疫、自主隔離を求められる場合がある。
・6月15日の緩和
EU・EFTA加盟国、英国からの入国制限が解かれ、移動の自由が回復した。
買い物だけを理由に隣国へ出入国するショッピングツーリズムが再び可能になった。
日本を含む第三国からの労働者に対する規制は7月6日に撤廃。7月20日にはEUの取り決めに倣い、日本や韓国など一部の国からの観光その他の目的の入国を許可した。
・8月3日の緩和
スイス~第三国に分かれて住む非婚カップルで、渡航制限がかかっている第三国からでもパートナーに会うためスイスに入国することができるようになった。
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