スイスの連邦人種差別対策委員会(EKR/CFR)は19日発表した調査報告書で、学校の教科書で人種や差別の問題がきちんと取り上げられていないと指摘した。
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調査はスイスの学校教科書が人種差別や社会の多様性をどの程度扱っているかを調べた。報告書外部リンクでは、全般として社会的な「普通」がかなり均質的に白人として描かれていると分析した。人種差別に関する教育は学習指導要領に組み込まれている。
調査によると、学校の教科書は近年、人種差別に関する議論の高まりにある程度対応してきた。たとえば「インディアン」という語は「アメリカ先住民族」に置き換えられた。カナダのイヌイットについてはステレオタイプに描かれているものの、現代イヌイットの個人的な肖像は削除された。スイスの「植民時代」に関する記述を含んだ教科書も登場しているという。
だが報告書は、これだけでは不十分だと指摘した。人種差別教育は、フランス語圏の指導要領「Plan d’étude」でも、ドイツ語圏の「Lehrplan21」でも重点が置かれていない。教科書は人種差別の網羅的な定義を記載しておらず、歴史上や対人関係で起きる出来事としてしか描いていない。人類を階層化・分類する原因となる人種主義の構造的側面にも触れていない。
また教師へのアンケートでも、人種差別というテーマが公教育上の義務であることは理解していながら、利用可能な教材は授業で取り扱うには適していないと感じていることが分かった。研修でも授業でどのように人種差別に関する議論を開始・進行するかといった基本的なことをほとんど学んでいないという。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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