
ラムセス2世の石像破片、30年ぶりにエジプトに返還

スイス連邦文化省は3日、古代エジプトのファラオ(王)、ラムセス2世の石像の断片をエジプトに返還したと発表した。約30年前にエジプトで盗まれたものとみられる。
文化省の声明外部リンクによると、断片は同日、カリーヌ・バッハマン文化省長官の手でベルンにあるエジプト大使館に引き渡された。
ラムセス2世の像はエジプトの神々の群像の一部で、3400年以上前に作られたものとみられる。1980年代後半~1990年代前半にエジプトの聖地アビドスにあるラムセス2世の神殿から盗まれた。複数の国を経由したのち、スイスに流れ着いた。
盗難・略奪された文化財の輸出入や販売は、文化財の国際移転に関するスイス連邦法で禁止されている。このため、ジュネーブ州が刑事手続きの一環で断片を没収していた。返還も同連邦法を根拠とする。
スイスとエジプトは1970年に締結された「文化財不法輸出入等禁止条約外部リンク」の締約国。2011年には文化財の輸入・返還に関する二国間協定も発効した。文化省は声明で「今回の文化財返還は、文化財の不法な移転と闘うというスイスとエジプトの共同コミットメントを強調する」と述べた。
ラムセス2世はラムセス大王としても知られ、古代ギリシャの資料ではオジマンディアスとも呼ばれる。紀元前1303年~同1213年頃に生きたとされる。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子

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