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ローザンヌで羽を広げるバレエダンサー

ローザンヌバレエ2023 スペインとメキシコの男子が同点一位

Laureates
©Rbuas

スイスで4日、ローザンヌ国際バレエコンクール2023の最終選考が行われた。スペインのミヤン・デ・ベニートさんと、メキシコのファブリツィオ・ウヨア・コルネホさんが、同点で1位を獲得した。

プロを目指す若手ダンサーのコンクールは、ローザンヌ・ボーリュ劇場で開催された。1位に輝いたデ・ベニートさん(15)は、コンクール終了後、「とても嬉しい。今まるで雲の上にいるかのよう。幼い時からダンスが大好きで、(入賞は)夢だった」と語った。

審査委員長のジャン・クリストフ・マイヨー氏は、デ・ベニートさんの踊りに関して、「とてもいい出来の踊りだった。カンパニーに入る準備ができている。そして何よりも、彼にはまだまだ伸びしろがある」と評した。4歳の時からバレエを始めたデ・ベニートさんは、マドリードの王立コンセルヴァトワール・ダンス・マリエンマに所属。コンクールでは、クラシック・ヴァリエーションで「パリの炎」、コンテンポラリーで「Rain」を披露した。

Millan De Benito
「パリの炎」を踊るデ・ベニートさん ©Gregory Batardon

同じく1位になったスイスのバーゼル演劇バレエスクールのウヨア・コルネホさん(16)は表彰直後、「まだ今でも緊張していて、気持ちがいっぱい」と喜びを表現した。

Fabrizzio Ulloa Cornejo
「Yugen」を披露するウヨア・コルネホさん Gregory Batardon

ウヨア・コルネホさんは、クラシックで「パリの炎」、そしてコンテで「Yugen」を踊った。ウヨア・コルネホさんは、「コンクール前半では落ち着いて、ファイナルでは緊張していた分ステージでさらに力を発揮して踊ることができたと思う」と語った。マイヨー審査委員長は、「彼の踊りは成熟してはいないが、感性がある」と高評価した。

今回、2人が1位を受賞したことに関して、マイヨー氏は、「2人は審査員の好みで異なる評価を受けたが、同点だった。真実は1つでないことの証だ。2人の素晴らしさには全員が一致した」と説明した。

Sangwon Park
「コッペリア」を披露するサンウォン・パークさん ©Gregory Batardon

3位のサンウォン・パークさん(18、韓国)が躍った「コッペリア」と「Les Ombre du temps」に関して、コンクールのキャサリン・ブラッドニー芸術監督は、「クラシックもコンテンポラリーも両方とも良かった。舞台で存在感があり、輝きを放つ人材だ」と感想を述べた。審査員を勤めた熊川哲哉氏は、「全体的に韓国人はレベルが高かった」とも述べる。「50周年に相応しいレベルの高い大会だった」と言う。

Keisuke Miyazaki
クラシック・バリエーションで「白鳥の湖」を踊る宮崎圭介さん ©Gregory Batardon

ワクイバレエスクールに所属する大阪府箕面市出身の宮崎圭介さん(15)は、8位に入賞した。日本人参加者13人のうち入賞は1人だった。

11人の入賞者には、希望するバレエ学校やバレエ団で1年間学ぶための奨学金が与えられる。

今年のコンクールは、ボーリュ劇場で開催された。1954年にオープンしたスイス最古の劇場は、2019年から3年の改修工事を経て開館。観客に観やすいよう客席に向かって3.5度傾斜していた舞台はフラット床になり、若い出場者たちが安心して踊れるようになった。

コンクール主催者によると、今回は16カ国の83人がコンクールに出場。22人が決勝に進出し、例年より多い11人が入賞した。会場の1600席は満席だった。

新型コロナウイルスによるパンデミックやウクライナにおける戦争の影響で、出場制限はなかった。ロシア人に参加資格はあったが、出場者がいなかったという。ただ、スイス政府の勧告に沿い、ロシア支援機関とのパートナーシップを一時停止にしたという。

入賞者

1位 Millán DE BENITO スペイン

1位Fabrizzio ULLOA CORNEJO メキシコ

3位 Sangwon PARK 韓国

4位 Julie JOYNER 米国

5位 Seehyun KIM 米国

6位 Alecsia Maria LAZARESCU ルーマニア

7位 Ana Luisa NEGRÃO ブラジル

8位 宮崎圭介 日本

9位 Emily SPROUT オーストラリア

10位 Giuseppe VENTURA フランス

11位 Soo Min KIM 韓国

ローザンヌ国際バレエコンクール

正式名称はPrix de Lausanne(プリ・ド・ローザンヌ)で、才能豊かな若いバレエダンサーがプロの道に踏み出すことへのサポートを目的とし、スイス西部のヴォー州ローザンヌで1973年から開催されている。15~18歳の若いダンサーを対象にした世界最高の国際コンクールの1つで、若手ダンサーの登竜門とも言われる。現在カンパニーとプロとして契約中、または過去にプロ契約を結んだことのあるダンサーは参加できない。審査は、技能的、芸術的、身体能力を評価基準としている。入賞者は、奨学金を受け取り希望するバレエ学校かバレエ団で1年間研修できる。

本選のローザンヌ国際バレエコンクール2023は、ボーリュ劇場で2023年1月29日~2月5日に開催。参加者はコンクール中5日間コーチの指導を受けた。ビデオによる予選には、39カ国から429人が応募し、16カ国の83人が出場した。

審査員長は、モンテカルロ・バレエ団の芸術監督ジャン・クリストフ・マイヨー。マリインスキー・バレエ団プリマ・バレリーナのディアナ・ヴィシニョーワやKバレエカンパニー芸術監督の熊川哲也ら10人が審査員を務めた。

▼【動画】コンクールに挑む横尾春瑠さん

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