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スイスアルプスで発見された化石 魚竜の歯と判明

大きな魚
イカの群れを捕食する巨大魚竜(中生代後期三畳紀)の復元イメージ Marcello Perillo/ University of Bonn

スイスアルプスで発見された長さ10センチの歯が、海に棲んでいた巨大な爬虫類、魚竜のものだったことが確認された。

独ボン大学とチューリヒ大学の研究チームが28日発表外部リンクした。これほど大きな魚竜の歯が発見されるのは史上2回目。もっと大きな標本は歯がなく、獲物を噛まずに飲み込んでいたとみられている。論文は科学誌「脊椎動物古生物学雑誌外部リンク」に掲載された。

歯は1976~90年にスイス東部グラウビュンデン州の標高2740メートル付近で発見された3個体の魚竜の化石の1つだ。研究チームによると、そのうちの1個体は長さが15メートルにもあった可能性がある。椎骨と数本の肋骨もあった。

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歯の根元は直径6センチで、これまでに見つかった魚竜の歯の中では最も厚い Rosi Roth/University of Zurich

魚竜は2億5000万年前に生息した。当時、全海洋生物の95%が姿を消した。魚を食べ、今のイルカやクジラのように呼吸するために海面に浮上した。

2億年前に巨大化した後、絶滅の道をたどった。最も大きく進化したシャスタサウルスは体長21メートルで、カナダのブリティッシュコロンビア州で化石が発見された。

今回魚竜のものと分かった化石が発見されたグラウビュンデン州の山は、オーストリア東部に広がるコッセン層と呼ばれるアルプス東部の地層の一部だ。堆積物は、旧大陸のローラシア大陸とゴンドワナ大陸の間のテチス海がこの地域の大部分を覆っていた三畳紀(2億5000万~2億年前)に堆積した。

当時は平坦な沿岸地域で、体重数十トンに及ぶ動きの速い海生爬虫類の生息には適していない。見つかった化石は浜に打ち上げられた個体のものとみられる。

(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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