The Swiss voice in the world since 1935

スイスアルプスで発見された化石 魚竜の歯と判明

大きな魚
イカの群れを捕食する巨大魚竜(中生代後期三畳紀)の復元イメージ Marcello Perillo/ University of Bonn

スイスアルプスで発見された長さ10センチの歯が、海に棲んでいた巨大な爬虫類、魚竜のものだったことが確認された。

独ボン大学とチューリヒ大学の研究チームが28日発表外部リンクした。これほど大きな魚竜の歯が発見されるのは史上2回目。もっと大きな標本は歯がなく、獲物を噛まずに飲み込んでいたとみられている。論文は科学誌「脊椎動物古生物学雑誌外部リンク」に掲載された。

歯は1976~90年にスイス東部グラウビュンデン州の標高2740メートル付近で発見された3個体の魚竜の化石の1つだ。研究チームによると、そのうちの1個体は長さが15メートルにもあった可能性がある。椎骨と数本の肋骨もあった。

tooth
歯の根元は直径6センチで、これまでに見つかった魚竜の歯の中では最も厚い Rosi Roth/University of Zurich

魚竜は2億5000万年前に生息した。当時、全海洋生物の95%が姿を消した。魚を食べ、今のイルカやクジラのように呼吸するために海面に浮上した。

2億年前に巨大化した後、絶滅の道をたどった。最も大きく進化したシャスタサウルスは体長21メートルで、カナダのブリティッシュコロンビア州で化石が発見された。

今回魚竜のものと分かった化石が発見されたグラウビュンデン州の山は、オーストリア東部に広がるコッセン層と呼ばれるアルプス東部の地層の一部だ。堆積物は、旧大陸のローラシア大陸とゴンドワナ大陸の間のテチス海がこの地域の大部分を覆っていた三畳紀(2億5000万~2億年前)に堆積した。

当時は平坦な沿岸地域で、体重数十トンに及ぶ動きの速い海生爬虫類の生息には適していない。見つかった化石は浜に打ち上げられた個体のものとみられる。

(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

米中協議を終え、記者会見に臨むグリア氏(左)とベッセント氏

おすすめの記事

関税協議「スイス最前列に」、米財務長官

このコンテンツが公開されたのは、 ジュネーブで行われた貿易問題を巡る米中閣僚級協議の成功を受け、ベセント米財務長官は12日、「スイスは貿易協定締結の最前列に躍り出た」と語った。

もっと読む 関税協議「スイス最前列に」、米財務長官
スマートフォンの画面とそれを操作する手

おすすめの記事

スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス中部ニトヴァルデン準州は5日、スマートフォンをはじめとするIT機器の小学校での使用禁止を発表した。授業目的や緊急時などを除き、全面的に学校でスマホが使えなくなる。

もっと読む スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
バーゼルの路面電車

おすすめの記事

バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ

このコンテンツが公開されたのは、 5月11~17日の欧州国別対抗の音楽祭「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト(ESC)」開催中、バーゼルでは「カラオケ・トラム(路面電車)」が運行する。ビンテージ車両で90分間かけて街を走る間、乗客は無料で歌い踊ることができる。

もっと読む バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
大阪・関西万博

おすすめの記事

スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール

このコンテンツが公開されたのは、 日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。

もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
クラウス・シュワブ氏

おすすめの記事

WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任

このコンテンツが公開されたのは、 世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。

もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部