加速器と検出器は休止期間中に強化され、次世代のLHCにアップグレードされる。稼動開始は2021年の春を予定
Keystone
ジュネーブ近郊にある欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突加速器(LHC)が2年間稼動をストップする。この間、世界で最も強力な粒子加速器の大規模なアップグレードと改修作業が行われる。
このコンテンツが公開されたのは、
CERNは3日、2015年以降、LHCが「期待以上の」成果を出したと発表外部リンク。13TeVのエネルギー量でおよそ1兆6千億個のプロトン衝突を達成し、5.02TeVのエネルギー量では、重イオン衝突に関する大量のデータを得られた。
これらの衝突によって得られた300ペタバイト(3億ギガバイト)以上の膨大なデータは、CERNデータセンターのテープライブラリに永続的に保存された。「これは24時間365日のビデオストリーミングを千年続ける量に相当する」とCERNは説明している。
「数々の素晴らしい結果に加え、LHC実験は過去数年間にヒッグス粒子の理解に大きな進歩をもたらした」とファビオラ・ジャノッティCERN所長は言う。氏はヒッグス粒子を発見した素粒子物理学者で、初の女性所長だ。
「ヒッグス粒子は、これまで観察された他の素粒子とはまったく異なる特殊粒子だ。その特性は、既知の物理学のモデルを超え、新たに有用なヒントを与えてくれる可能性を秘めている」(ジャノッティ氏)
新しくグレードアップされたLHCの稼動スタートは、21年の春を予定している。
おすすめの記事
スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
このコンテンツが公開されたのは、
米国がスイスに課す39%の「相互関税」をめぐり、スイス政府は4日、米国との協議を続け「より魅力的な提案をする」と表明した。
もっと読む スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
おすすめの記事
トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
このコンテンツが公開されたのは、
米国はスイスに課す相互関税率を39%と発表。スイス政府は「大変遺憾に思う」と表明した。
もっと読む トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
おすすめの記事
スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。
もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
おすすめの記事
温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。
もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
おすすめの記事
アルプスに新しい巨大地上絵が登場
このコンテンツが公開されたのは、
世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。
もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
おすすめの記事
スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。
もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
おすすめの記事
欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
このコンテンツが公開されたのは、
欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。
もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
続きを読む
おすすめの記事
宇宙の謎に挑む装置を支える技術者ってどんな人?
このコンテンツが公開されたのは、
マルタ・バジコさんは、ビッグバン直後に何が起こったかについて理論を立てるような欧州合同原子核研究機構(CERN)の花形物理学者ではないかもしれない。しかし、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の巨大な磁石を担当する彼女のような技術者たちの存在があって初めて、物理学者たちは自分の仮説を検証できるのだ。
もっと読む 宇宙の謎に挑む装置を支える技術者ってどんな人?
おすすめの記事
CERN保管のスライド写真が芸術作品に変身!
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブの欧州合同原子核研究機構(CERN)で1980年代に使用されたスライド写真が芸術作品として蘇った。朽ちて残っていたフィルムの大半は、当時使用されていたLEP(素粒子研究用の円形加速器)時代のネガのコピーだ。現在、写真の一部がジュネーブ市内のギャラリーで公開されている。
もっと読む CERN保管のスライド写真が芸術作品に変身!
おすすめの記事
素量子物理学者、リスク回避型の資産運用を目指す
このコンテンツが公開されたのは、
最先端の科学を探求する欧州合同原子核研究機構(CERN)。ここでは、27キロメートルの大型ハドロン衝突加速器(LHC)内で陽子同士を衝突させ、宇宙誕生の瞬間を再現しようとしている。ところが、このような最先端の研究とは対照的に、同組織の年金基金は驚くほどリスク回避型なのだ。
1954年に設立されたCERNは、スイス・ジュネーブとフランスとの国境にまたがって建っている。そのホームページにはこう書かれている。「宇宙は何で出来ているのか?宇宙はどのように始まったのか?CERNの物理学者たちは、世界で一番強力な大型ハドロン衝突加速器を使いながら、これらの問いに答えようとしている」
だが、CERNの研究者3600人の年金基金の資産運用は、こうした最先端の研究のやり方に相反するかのように、リスク回避型だ。
もっと読む 素量子物理学者、リスク回避型の資産運用を目指す
おすすめの記事
日本人ら研究チーム アレッチ氷河内部の初「透視」に成功
このコンテンツが公開されたのは、
日本人を含むベルン大学の研究チームが、宇宙線のミュー粒子を利用し巨大な物質の内部をレントゲン写真のように写す技術「ミュオグラフィ」で、ユングフラウのアレッチ氷河の透視に初めて成功した。これまで調査が困難とされてきた氷河内部の解明につながるほか、研究者らは「氷河の予報も夢ではない」と期待する。
もっと読む 日本人ら研究チーム アレッチ氷河内部の初「透視」に成功
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。