スイスのカトリック教会の性的虐待スキャンダルを受け、国内で信者流出が加速している。フリブールだけでもこの3週間で500人以上が教会を去った。財源を信者の税金に依存する教会は、今後を危惧している。
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「個人的な理由で、私はもう教会税を課されたくありません」。弁護士のジェレミー・シュタウファッハーさんは先週、教区に宛てた手紙にそうしたためた。スイスでは、信者登録した人に教会税が課される。
「手紙はしばらく前から準備していて、パソコンで作っておいた」と仏語圏のスイス公共放送(RTS)に語る。「最終的には、最近起こった出来事(性的虐待スキャンダルのこと)が引き金になった」
教会から距離を置いたのは、シュタウファッハーさんだけではない。フリブール州単独で、この3週間に500人が教会を去った。これは年間離脱者の3分の1に相当し、記録的な数字だ。
広がる不満
ザンクト・ガレン、ルツェルン、バーゼル、チューリヒの各都市でも数百人の信者が教会を去った。カトリック色の強い南部ヴァレー(ヴァレー)州では今年の離脱者が15人だが、うち12人が最近だ。
この傾向はスキャンダルを受けて加速しているが、既にずいぶん前から教会をむしばんできた。この10年の動きを見ると、国内の教会離脱者は急増している。2011年は1万3809人だったのに対し、2021年は3万4182人だ。
フリブール州のカトリック教会法人のダヴィッド・ノイハウス事務局長は、教会が過去の暗部に光を当てようとしているさなかに離脱者が急増していることを残念に思っていると話す。
1千件以上の性的虐待があったとするチューリヒ大学の調査が発表されたのはつい最近のことだ。この調査は、スイス司教会議などカトリックの3団体が委託した。
悲しい気持ち
「カトリック教会が調査を依頼し、真実を追求している時に、人々が教会から大量に去っていく」とノイハウス氏は嘆く。「私たちにとって、それはとても悲しいことだ」
教会税に財源を依存する教会は、今後を危惧している。ノイハウス氏によれば、これらの税収がなくなれば、多くの教会サービスが提供できなくなる。
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同報告書によるとチューリヒ州の牧師の月給は9084フラン(約101万7800円)で、スイス軍の将校、土木技師、ジャーナリストよりも高い。しかし給与が高い一方で、牧師の1週間の労働時間は48時間と、一般的なフルタイム労働者の週40時間労働よりも8時間多く働いている。また、カトリック教会の司教の場合、週の労働時間は42時間で月収は8595フラン。教区民を訪問したり式典に出向いたりすることが多い聖職者の労働時間は、通常よりも長い傾向にある。
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エコプラン調査事務所の予測によると、スイスのカトリック教会は何も対策を講じなければ2030年以降、減税分を補うことができなくなるという。
英語からの翻訳:宇田薫
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