山岳リゾート地ヴェルビエのスキー客。2020年11月28日撮影
Keystone / Jean-christophe Bott
イタリア・フランスの国境に近いスイス西南部の山岳リゾート地ヴェルビエで、自主隔離の対象となった英国人観光客数百人が姿を消した。夜中に立ち去った例が多いという。
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スイスは21日、変異種の新型コロナウイルス感染が広まる英国および南アフリカからの入国禁止を発表した。それに加え、14日以降に英国からスイスに入国した人に10日間の自主隔離を義務付けるとし、ヴァレー(ヴァリス)州ヴェルビエでは、英国から訪れた観光客と現地住民を含む420人が自主隔離の対象となった。
約50人は直ちにホテルの部屋を引き払い、残りの370人が自主隔離を余儀なくされた。ヴェルビエが属する自治体バニュのジャン・マルク・サンド広報担当によると、「ホテルの従業員が、部屋の前に置かれた朝食に手が付けられていないことに気付き、宿泊客が既にホテルを立ち去っていたことが発覚した」ケースなど、自主隔離対象者の多くは夜中にひそかに立ち去った。27日までヴェルビエに留まったのは十数人ほどだった。立ち去ったうちの数人からは、隣国フランスに到着した報告を受けたという。
サンド氏は「彼らが怒るのも無理はない」と理解を示し、「小さな子供を連れた家族が突然、20平方メートルの中に閉じ込められるケースもあった。それは耐え難いことだ」と述べた。英国からの観光客に対する突然の自主隔離義務付けも鋭く批判した。今回の隔離に関連した助成は受けていないという。
サンド氏によると、スイスの地元当局は当初、自主隔離を義務付けられた宿泊客のために復路便を手配しようと力を尽くしたが、10日間の自主隔離を終えた人だけが搭乗できることが明らかになったため「断念せざるを得なかった」。
人口9千人の村ヴェルビエは例年、宿泊客の5分の1を英国からの観光客が占める。「多くのスイス人はここでの休暇をキャンセルした。本来であれば今頃の宿泊客は週に5万人ほどだが、現在のホテルの稼働率は3~4割程度に留まっている」
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