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ファントシュ スイスのアニメーション映画祭

「打つ娘サユリ」木村卓史製作 国際アニメーション映画祭「ファントシュ」2005ホット・タレント賞受賞作品(写真 ファントシュ提供)

(swissinfo.ch)

6日から11日までバーデン市(Baden)で、第5回国際アニメーション映画祭「ファントシュ」(Fantoche)が開催された。

 ハイリスク賞に選ばれたのはカナダの「ウエルカム・トゥ・ケンタッキー」(Welcome to Kentucky)(クレーク・ウェルク氏製作2004年)。ホット・タレント賞には日本の「打つ娘サユリ」(木村卓史氏製作2003年)が選ばれた。木村氏は受賞の知らせを受け「他の国の人に良いといわれて嬉しい」と語った。

 バーデン市はチューリヒから急行電車でおよそ15分。アールガウ州にある保養地として有名な小都市である。ここでは、1995年から2年おきにスイス最大の国際アニメーション映画祭ファントシュが開催されている。今年は、スイスをはじめ欧州、アジア諸国など37カ国から集まった515本が上映され、およそ2万人の観客を楽しませた。このうちコンペにはハイ・リスク賞を受賞した「打つ娘サユリ」(木村卓史製作)のほか「こどものたび」(高橋慶製作)の2本を含む34本が参加した。

こじんまりが良い

 創立当時からファントシュにかかわり続け、広報を担当するサンドラ・ヴァルザー氏は「世界から集まったアーティストとアニメーション映画のファンが気軽に交流できる、こじんまりさが特徴」と語り、今後もこれ以上、規模を拡大するつもりはないという。今回の審査員の一人で今回上映された「TAMALA2010」の製作者、K.Saito氏も「コマーシャル的でない。スタッフのもてなしの心を感じる」と評価する。

 予算は2年間でおよそ8500万円。連邦文化局からも1100万円の支援を受けている。ヴァルザー氏は「開催中、映画祭を支えているのは70人のボランティア。こうした人すべてにも給料を払えるようになりたい」と、今の規模を保ちながらも収入を上げることの難しさを示唆した。

 バーデン市は温泉で有名なほか、城と城壁の名残である塔がシンボルマークで、旧市街も観光に値する。映画祭の間、台湾や中国のアニメーション映画学校の生徒や先生と韓国のアーティストが言葉の壁を乗りこえて、交流する姿も見受けられた。

ファントシュは有名だがスイスの作品は・・・

 スイスのアニメーションは74本上映された。選考委員ヨナス・レーバー氏が「個人的に気に入ったものばかりではなく、作品として疑問に思ったものも上映することにした。良し悪しは観客が判断する」と言うように、質にばらつきがある。

 政治を風刺したアニメーションがやっとドイツ語のテレビで上映され、スイスのアニメーション映画も大衆に紹介し始められてきたというのが現状。ファンは日本をはじめとする外国のアニメーションを鑑賞している。映画祭としてのファントシュは有名だが、スイスのアニメーションは他国のものと比べ評価が高いとはいえないようだ。
 
 今回入賞からはもれた「こどものたび」を製作した高橋慶氏は、実際にファントッシュを訪れた。ファントッシュには一般客がコンペの上映に大勢の観客が来ているのを見て驚いたという。日本ではアメリカ製のアニメーション映画か日本の有名な作品にしか人が入らないからだ。なお「こどものたび」は、生命の大切さを訴えた、3DCG(3次元のコンピュータ・グラフィック)のアニメーションである。

日本の作品の人気

 一方、日本の作品はここでも人気がある。台湾のアニメーション映画学校の生徒も、宮崎駿のほか日本のマイナーな作家の名も挙げ「好きです」と答えるほど、外国人からよく「勉強」されている。

 日本の作品が評価されている理由として前出のK.Saito氏は「浮世絵からの伝統があることと、手塚治虫が作りたかったアニメーションの世界が今、花を咲かせた」と説明する。また、日本人は細かい手作業が得意で、職人気質なところがアニメーション文化に合っているという。

 今年「(欧州では)新しい作品」であると評価され受賞した木村卓史氏の「打つ娘サユリ」は、欧州で最も評価の高いといわれるアヌシー国際アニメーション映画祭でも入選した作品。木村卓史氏は、土着的などろどろした絵柄に惹かれるという。出品作は3DCGで作っているが「手作りのようなものにしたかった」と、画風に工夫したという。

 映画祭中には宮崎駿氏の「ハウルの動く城」や山村浩二氏の「年をとった鰐」なども上映され、大勢の人が鑑賞し、日本のアニメーションの映画の人気は高いことが確認された。

swissinfo、佐藤夕美(さとうゆうみ) バーデンにて

キーワード

<ファントシュ>
1985年から2年おきにアルガウ州バーデン市で開催。
2年間の予算が8500万円という比較的小さな映画祭。
参加作品数37カ国から515本。
観客およそ2万人。

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