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光のマジシャン、世界を駆ける

ピラミッドの下にある部屋に書かれている象形文字を映し出す.

(;ゲリー・ホフシュテッター)

「信じられない・・・全く信じられない・・・。ドーバー海峡の白い絶壁に滝が落ち込んでいく。一体、なんであんなところにこんなものが?」

高く積み上げられた書類や本の向こう側でつぶやいているのは、スイスが誇る光のマジシャン、ゲリー・ホフシュテッター氏だ。

 首を伸ばしてのぞいてみると、ホフシュテッター氏はコンピュータの前に座り、何枚もの写真を見比べながら悪戦苦闘していた。最近のプロジェクトはイギリスからの注文だ。

ライトアップの効用は幅広く

 光のアーチストとして、おそらくホフシュテッター氏は、世界で最も知られた一人だろう。

 建物を違う形に変形させたり、モニュメントや自然の美しい風景を突然、モダンな芸術作品に変身させるのも、お手の物だ。彼の傑作の中では、氷山の上に乗る白熊や、スイスの国旗をマッターホルンや連邦政府の建物に映写したものなどが有名だ。

 彼は、「モーレツ大学教授」スタイルの髪をかきむしっていたが、次の瞬間、輝くばかりの笑顔でこちらに顔を向けた。「3カ国で62件のイルミネーション・イベントがあるのですよ。まったく、今月は私の人生で1番の忙しさですね。まあ、なんとかなるでしょう。何事も、楽天的に考えなくちゃね」

 この世界を駆け巡る芸術家の辞書に、「疲れ」という言葉はない。彼は最近、エジプトから帰ってきたばかりだ。彼はそこで、地元のホテルのために、ギザのピラミッドとスフィンクスをライトアップさせるプロジェクトを手がけた。

 「6日間で、睡眠時間は12時間。ジープ、ヘリコプター、規制許可。本当に乗り越えられたとは信じられないよ。まったく、言葉にならないね」。しかし、目は充血もせずに、きらきらしている。

 「私のアイデアと彼らが考えていたことが、どんぴしゃりと合ったんだ。彼らは、ピラミッドの中に入る観光客をなんとか減らせないものかと思っていた。現在、観光客によるピラミッドのダメージはかなりのものだからね。だから、ピラミッドをライトアップさせれば、観光客は遠くから見守って、中には入らないんじゃないかってアドバイスしたのさ」

変幻自在

 ホフシュテッター氏はチューリヒ出身の44歳。自分自身も、変幻自在だ。12年間、投資銀行などで働いた後、変化を求めてヘリコプター・パイロットになるため辞職する。

 「2年間ほどやっていたけどね、子供ができて家族のことを考えると、ちょっと危険すぎる職業だと思い始めたんだ。それで、イベント会社を立ち上げたというわけなんだ」と、ホフシュテッター氏は簡単に言う。

 このイベント会社は「幻を本物に変える」ことを売り物にし、過去12年間で様々な顧客の要望に応えてきた。しかし、何といっても有名なのは彼の手がけた「光の芸術」だ。そして彼の持つ様々な技能のおかげで、この会社はライバル企業を蹴散らした。

 「イルミネーションを使ったイベントは6年前に始めたんだ。最初の1年か2年は、もうめちゃくちゃだったよ。これをやってくれ、あれをやってくれってね。例えば、スイスの国会議事堂とかね」

この仕事の醍醐味

 ホフシュテッター氏のお気に入りは、すでによく知られているものを、彼のイベントによってびっくりするほど新しいものに変えてしまうことだ。モニュメント、建物、風景。人々が慣れ親しんだものを、彼の巨大な6000ワットの映写機やスライドを使って、見たこともない現代アートに仕上げる。
 
「夜が終わって、映写機のスイッチを切り、家に帰る。何も残らない。人々の胸の中の楽しい記憶以外はね」

 彼のプロジェクトが、もっと真剣なメッセージを含むこともある。2003年、彼は国連の「国際淡水年」の企画で南極に飛び立った。地球温暖化の結果、南極の氷が溶けて深刻な状態になっていることを、ライトアップを使って世界に警告するためだ。

 「この2つの巨大な映写機を運ぶのに、どんなに大変だったか、膨大な事務手続きや連絡、胃がきりきりしたこともあったし、胸いっぱいに幸運を感じることもあった・・・。これは想像できないだろうな。南極の美しい朝、ロシアの砕氷船が、静まり返った、穏やかな水の上を進んでいく。後ろを振り返ると、まだ頭上に星がまたたいている。そして目の前の氷山は動かない」

スイスの十字からペンギンまで

 スイス国内での仕事も忙しい。大規模なものから小さなものまで、本当に引っ張りだこなのだ。企業や政府、基金や美術館、そして個人からも仕事の依頼がひっきりなしに来る。

 顧客の中では、特に、スイス政府はお得意さんだ。彼の芸術は、国内外でスイスを強烈に印象付けるのにぴったりという評価なのだろう。

 彼はクリスマスに向け、すでにトゥーン ( Thun ) とジュネーブをイルミネーションで一杯にし、ライン川上流にあるアルプスの山里、フリムス ( Flims ) で行われたスイス連邦議会の開会式イベントを、光で飾った。 また、アメリカのワシントンに飛んで、新しくなったスイス大使館のオープニングも手がけた。

 「過去数年間、『スイス的な』というコンセプトは世界中でとても流行っているんだ」とホフシュテッター氏は説明する。「私が生み出す、シンプルな赤と白の十字のシンボルは、明るくて、ちゃんとしていて、かっこいいというイメージを見る人に植え付けることができる」

 しかし現在、最も力を入れているのは、ペンギンだ。彼は、後に鎮座するプラスチックのペンギンを指差した。

 「来年の一番大きな仕事は、グリーンランドだ。ここの氷山は、世界で最悪の状況なんだ。ここに住むペンギンに焦点を当てるんだよ」

swissinfo、 サイモン・ブラッドレイ 遊佐弘美 ( ゆさ ひろみ ) 意訳

キーワード

ゲリー・ホフシュテッター氏の事務所は、7人のフルタイム事務員、12人のライトアップ専門家、20人のフリーランスを抱えている。
彼が使う6000ワットの映写機は、世界で2番目の大きさを誇る。
1台の映写機の大きさは縦約1メートル、横2メートル、重さは160キログラム。700メートル先まで光の芸術を映すことができる。

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光のイベント・リスト

11月24日〜2007年1月7日:モントルー「クリスマス市場の氷の上ライブ」
11月25日〜2007年1月2日:チューリヒ「氷の上ライブ」
11月30日〜12月1日:シャフハウゼン「光のアート・フェスティバル」
12月1日〜2日:チューリヒ「ヴェネツィア・カーニバル」
12月9日〜23日;ヴォー州「光のフェスティバル」
12月26日:グシュタード
12月28日〜29日:ダヴォス-クロスタース;「光のアート・フェスティバル」
12月31日:チューリヒ;「大晦日の魔法」

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