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連邦工科大学が世界屈指を目指す

連邦工科大学は世界の大学に対抗できるよう、教育のレベルを上げる努力をすることにした。 ETH

アインシュタインが教鞭をとったことで知られる連邦工科大学(ETH、チューリヒ校およびローザンヌ校)が、世界の上位10指に入る大学になろうと闘志を燃やしている。このほど、その戦略が発表になった。

特に6分野における研究のレベルを向上させ、2008年までには創設されるセンターを核として大学のレベルを向上させる計画だ。

科学者、経済学者、政界の代表者11人で構成される連邦工科大学理事会の理事長のアレクサンダー・ツェンダー氏は、世界の大学のトップ10に入るよう同工科大学の教育を強化し、レベルアップするという目標を掲げると発表した。特に、エネルギー、マイクロテクニック、環境科学、バイオ医学などの6分野に集中して力を入れ、各分野ごとに新しくセンターを創設するという。センターは他の大学にも門戸が開かれ、内外の研究者がお互いに刺激し合えるようにする。

ETHの世界ランクを上げる

 現在ETHは世界の500の大学の中で大学としてのレベルが27位で、イギリスを除く欧州では第1位であるという統計もある。しかしランキングは、過去の実績を評価したもので、現在の実力が反映されているわけではないといわれている。実際、昨今のスイスは、高等教育の質が低下し、革新的な研究への意欲も鈍くなり、他国に追い越される傾向にある。一方で、フィンランド、スウェーデン、日本、英国の教育レベルは大きく向上している。

 しかも、連邦政府からのETHへの補助金は2000年以来、増額されていない。これでは、質向上は難しいと懸念される中、今回発表されたセンターの創設により大学の研究者の革新的研究への意欲が増すことが期待される。

学生を育て、産業界とも協力する

 修学の最初が学生にとっては肝心であるとの認識の上、すでに入学当初に大学が学生に対して期待することや、学生が大学に期待することを確認し合うための面接を行うことにした。この面接が大学と学生の最初の接点となる。「就職でも面接が企業と従業員が知り合う初めての機会になるのと同じである」とツェンダー理事長は説明する。

 また、同理事長は、「大学が最も重要視している基礎研究に背を向けるわけではないが、基礎研究から芽生える実戦への応用を無視しないようにしたい。センターは産業界、科学者、民間が一堂に会す場所としたい」と、実践面での大学の役割に重きも置くようにし、競争力を高める方針が明らかになった。

スイス国際放送 外電 意訳 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

チューリヒ連邦工科大学 1855年創立
ローザンヌ連邦工科大学 1969年創立
学生総数 19,000人 
教授総数 550人
年間予算 230万フラン(約2億700万円)

アレクサンダー・ツェンダー
今年7月1日からETH理事長
1976年 チューリヒETH卒業
1992年 環境生体学教授就任

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