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イスラム教に改宗して   スイス人女性モニカ・サモールさん

1992年にプロテスタントからイスラム教に改宗したモニカ・ヌル・サモール・ヴェシトさん(35). SF DRS

イスラム教に改宗するスイス人が増えている。

欧米社会では、イスラム教は女性を抑圧していると見られがちだが、ドイツ語圏の有力紙NZZによると、イスラム教に改宗したスイス人女性は現在3万人いる。そのうちの1人、モニカ・ヌル・サモール・ヴェシトさん(35)に話を聞いた。

——イスラム社会における女性の役割は低いと非難されがちですが。

 私自身、1人で外出しますし、社会活動もしていますよ。それは私がスイス人だから特別ということではありません。 

 預言者ムハンマドがいた1400年も前から、女性は政治の場でも知識人社会においても活躍していましたよ。家に縛られる女性という考え方は、イスラム教からというよりも、むしろ父権社会の価値観から生まれたものです。

——イスラム教に改宗したきっかけは。

 22歳の時に最初の夫に会い、結婚しました。その当時はいつも死について考えていましたが、キリスト教では答えが見つかりませんでした。死はタブー視されていますからね。

 でもレバノン人の夫には答えがあったのです。イスラム教では死とは何かとはっきり説いているからです。夫には、西洋人が抱く死への恐怖というのは理解できなかったようです。

 以来、イスラム教について勉強するようになりました。それで、ある日気付いたんです。神も預言者も運命も、自分はもともと信じていたんだと。自分はもともとイスラム教徒だったんだと。ただ、それに気付かなかっただけなんだと。それでふっと肩の力が抜けたんです。結婚の翌年92年には改宗しました。

——最初のご主人を交通事故で失い、レバノン人と再婚。6年後に離婚。現在、3人のお子さんと生活していますが。

 子供たちが18歳になるまで、“宗教的”にもきちんと育て上げるのが私の責任です。家ではイスラム教に則した生活をしています。

 もし、子供たちがイスラム教徒を辞めたくなったら?そんなことは起こらないと信じています。でも、宗教や信念は強制されるべきものではありませんので、もし子供たちが大人になった時に棄教するのであれば、その決断に責任を持って生きてほしいです。

——スイス居住のイスラム教徒女性は改宗したスイス人女性よりも不満が多いと聞きますが。

 大きな要因は言葉の壁ですね。

 まずドイツ語を習得すること。預言者ムハンマドもこう言っています。新しい土地に住むのであれば、その土地の言葉を話しなさいと。そうすれば、コミュニケーションできるようになると。

 私の個人的な意見ですが、イスラム教徒の女性がスイスに住むのであれば、ドイツ語を習うべきです。ドイツ語を習得すれば、前向きな議論は可能なはずです。


 swissinfo  ジャン・ミッシェル・バトゥー   安達聡子(あだちさとこ)意訳 

スイスのイスラム教徒:


スイス連邦統計局によると、国内のイスラム教徒は推計31万人。全人口の約4.3%を占める。

このうち、約3万人がイスラム教徒に改宗した女性という。

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