スイス企業、炭素税の免除要求
スイスの企業およそ1000社が、二酸化炭素 ( CO 2 ) 排出量削減を目的にした「炭素税」の免除を申請している。
連邦環境局 ( BAFU/OFEU ) はこのほど、この炭素税免除に関しての調整決定を来月中に発表すると述べた。
炭素税は企業、個人に燃料を効果的に使うよう促す対策で、すでに、イギリス、オランダ、ドイツなどで実施されている。スイスでは2007年3月の連邦議会の承認を経て、来年1月からスタートする。暖房用の灯油にかかる炭素税は、排出する1トンのCO 2につき12フラン ( 約1200円 ) で、1リットル使用につきおよそ0.03フラン ( 約3円 ) の計算になる。
排出権などの効率的方法で努力
炭素税の免除申請をしたのは970の企業で、これらの企業全部で年間350万トンのCO2を排出している計算。それはスイスの全企業の排出量の40%にあたる。
実際には、炭素税の法律には、「排出量の多い大企業も国際競争に対応できるよう、控除されることもある」と記されている。その代償として、温室効果ガスの排出量をスイス国内や外国で削減していかなくてはならない。
「同法は、スイスの多国籍企業や大企業に、( 途上国で削減事業を行うことなどで得られる ) 排出権を自社分としてカウントしたりするなど、企業にとって一番効率的な方法を取ることを提示している」
と連邦環境局のアンドレア・ブルクハルト氏は語る。
連邦環境局も連邦エネルギー局 ( BFE/OFEN ) も同法でスイス企業が世界競争に不利になることはないとみている。
「多くの国々が同様の税制を導入している。例えばスイスにとって一番の貿易相手国ドイツもグリーン税を数年前に導入している」
とブルクハルト氏。
「個人レベルでは、同税の導入は強いインパクトを与えることになる。たとえば日々の窓の開け閉めや必要のない暖房を止めるなど、エネルギーの使い方に敏感になるだろう」
とブルクハルト氏は言う。
炭素税の導入で得られる税収は、2010年から企業や個人に還元される。個人では健康保険などを通して、全国民1人につき16フラン( 約1600円 ) 、企業は労働者に支払われる給与10万フラン ( 約1000万円 ) につき37フラン ( 約3700円 ) の 払い戻しを受ける。
京都議定書の目標にまだ不十分
炭素税は2012年までに1990年比で8%削減する目標達成のための、さまざまな対策の1つである。2005年10月には、車のガソリン税 ( 車の燃料1リットルにつき0.03フラン )も導入されている。
しかし、連邦環境局長ブルーノ・オベルル氏によれば、これらの対策では京都議定書が定める目標を達成できず、未達成分50万トンのCO2排出量への対策を立てる必要があるという。
今後数週間にわたって、提案されたほかの諸対策が内閣で話し合われることになっている。
swissinfo 外電
スイスは2003年京都議定書に批准し、2010年までに1990年比で10%削減する目標を掲げている。しかし、目標達成は難しいと専門家の間では見られている。1990年、温室効果ガスの排出量は5330万トンで、2000年には5270万トンだった。
2000年5月、京都議定書の目標達成のため「二酸化炭素排出規制法」を発効。企業約1000社がCO2排出量の自主規制に乗り出した。
しかし、2005年には、自主規制だけでは不十分であることが分かった。だだし、規制強化の方法は難航している。
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