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ダボス会議とスマトラ沖大地震

大津波の被害について、ダボス会議でも世界の経済界代表の間で討論されることに。(写真はスマトラ島アチェ沖で大津波のため転覆した貨物船) Keystone

世界経済フォーラム(WEF ダボス会議)が26日から30日までの予定で開催される。スマトラ沖地震と大津波により莫大な被害が出たことを受け、協議事項を一部変更し、被災地の再建およびインフラ整備についても討論することになった。

以前から討議のテーマの一つとして掲げられてきた「グローバル・リスク」の中で、今回の大津波の被害とその救済について話し合われる。

スマトラ沖地震と大津波により、被災諸国の経済にも大きなダメージがもたらされた。東南アジアは2004年、世界の他の地域の平均以上の経済発展がみられたことから、今回の災害で景気の伸びが頭打ちとなり、今後の悪影響が懸念される。

ダボス会議で話し合われる必要性

 東南アジアのなかでも新興諸国の経済成長率は6.6%。スイスのそれは2%にも満たない。今回災害に見舞われたインド洋に面する諸国は、中国と並んで賃金が安く、国際市場で活躍する企業が積極的に進出している。今後も世界経済にとってこれらの国々は生産拠点として、またサービス業の拠点として重要でありつづけるだろう。

 今年のダボス会議では、大津波に遭った諸国の代表者を招待し、企業の代表者との会談の場が設けられることになった。

 例年およそ300のテーマについて出席者が話し合う場が持たれるダボス会議では、これまでも自然災害における経済界の役割について討論されている。2002年には「災害リソース・ネットワーク」(DRN)を作った。ネットワークが作られて一年後、イラン南東部バムの地震が起こったため、物流、建設、援助物資の配給面で被災地で協力したという実績がある。

 ただし、バムでの援助活動を分析すると、より多くの人が救済活動に携わり、より必要とされる物資が配給されるなど救済活動がより早く進んでいたなら、より多くの人々の命が助かったと見られる。

ダボス会議のメンバーによる被災地救済活動

 今回はすでにDRNのメンバーは、スリランカで物資運搬のために使われている空港の負担を軽減するための活動に入っている。大勢の人を救うために大量の支援物資が空港などに急に集中するため、物資配分のノウハウを提供している。

 運送会社のDHLやTNTなどは、ジャカルタにある倉庫を救援物資の一時的な保管所として無償で貸し出した。また、TNTは被害の大きかったアチェ地方に支援物資を運ぶためトラックも無償で貸し出している。 

 近年頻繁に起こる天災に対しては、大企業も危機を感じている。ダボス会議で話し合われるであろう被災国のインフラ再建は重要な議題の一つとなる。発電所建設などを専門とするABB、セメント大手のホルシムなどスイスの大企業の協力のほか、銀行の融資も期待される。また、観光業の再建のため、ホテルチェーン、不動産会社などの支援も必要だ。

 ダボス会議では今回の大津波の災害復興援助のほか、中国問題、異常気象、バランスの取れたグローバル化、世界経済、グローバル・ガバナンス、イスラム、中東問題、貧困、世界のリーダーとしての米国などがテーマとして挙げられている。

swissinfo アレクサンダ・クンツレ 意訳 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

ダボス会議 本部ジュネーブ
1971年、クラウス・シュヴァブ教授により「欧州経営フォーラム」として開催されたのが始まり。

ダボス会議では、例年300件以上のテーマについて話し合いがもたれる。
「経済と自然災害」は以前から討議項目として定められていたが、スマトラ沖地震・大津波の被害を深刻に捕らえ、重点的に話し合うことになった。
2002年からダボス会議の「災害リソース・ネットワーク」を通し、大企業が災害地における物資配給などの面で人道援助団体と協力している。

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