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マーガリンは危ない

一般にパイ生地には特にトランス脂肪酸が多く含まれている Keystone

連邦工科大学チューリヒ校 ( ETHZ ) の研究によると、スイス国内で販売されている120の食品の一部から心筋梗塞や動脈硬化を誘発するトランス脂肪酸が大量に検出された。

研究者は食品メーカーと連邦政府の当局との会合を持ち、トランス脂肪酸の含有量表示と、使用量を制限する制度を作るよう要請した。

 少量でもトランス脂肪酸は心臓などの循環器障害の原因になる。このほど発表になったETHZの研究がスイスでもやっと注目を集め始めた。体に害を与えるトランス脂肪酸の含有量については、スイスでも欧州連合 ( EU ) でも表示する義務はまだない。

規制が遅れているスイス

 EUでは、トランス脂肪酸の許容量を2%と定めているデンマークを非難しようとさえしたこともある。理由は、EU間の自由貿易に支障をきたすからだ。含有の表示を義務付けているのはアメリカ、カナダ、南アメリカ諸国の一部。韓国は今年に入って、菓子メーカーが「トランス脂肪酸ゼロ化」を宣言し、完全追放の動きが活発になっている。日本では今のところ、表示の義務化や量制限の動きはない。

 ニューヨークのレストランで、トランス脂肪酸の使用を禁止する動きがあることがスイスでも大きく報道されたが、このほどのETHZの調査結果を連邦政府は支持し、使用の制限を奨励するという意見を公表した。

 調査によると、マーガリンなどの含有許容量は、食品100グラムのうち最高1グラムであるという。しかし実際は、数グラムものトランス脂肪酸を含んだ食品が見つかった。少量を摂取するだけでも循環器に障害を来たすが、症状が現れるまでには何年もかかることも指摘されている。このように危険な成分だが、スイスでは含有の表示義務も許容量の設定も現在のところない。

同じ食品でも含有量に幅

 含有量が最高だったのは、パイ生地を使った菓子類で、0.6〜19.2%、平均8.5%ものトランス脂肪酸が含まれていた。一方、スイス人が朝食に好んで食べるクロワッサンは調査した限り問題はなかったという。

 同じ食品でも含有量の幅は大きくぶれる。アイスクリームは含有量ゼロから25.6%まで、ナタネ油は最高29.3%だが、植物性脂肪を使ったクリームの場合0.15%だった。これはまさしく、トランス脂肪酸を使用しなくても食品は製造ができるという事実を示すものである。

 スイスの大手スーパー、ミグロやコープはすでに「トランス脂肪酸撲滅作戦」を宣告した。2社の目標は含有率2%で、それぞれの自社製品については、トランス脂肪酸の問題はすでに無いと今年1月中旬、発表した。

swissinfo、外電 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

 自然界ではほとんど存在しない。液状の油を固形化する際の副産物。ケーキやポテトチップスなど飽和脂肪酸を加熱するような食品にもトランス脂肪酸が含まれる。トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増加させ、循環機能に悪影響を及ぼす。

 連邦健康局 ( BAG/OFSP ) は、トランス脂肪酸をできるだけ摂らないよう勧告している。揚げ物、ケーキなど脂肪が加熱されている食品、高脂肪の乳製品を使用した食品、脂身の多い肉などの摂取を抑えることで、トランス脂肪酸を避けることができる。

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