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「高値」の花のスイス時計

豪華なスイスの高級時計はスイス時計業界を引っ張っている Keystone

スイス時計産業は2005年に最高の黒字を記録した。2006年もこの波に乗って好調なスターを切った。これは、スイスの高級時計が引っ張っている。

スイス時計協会の会長、ジャン・ダニエル・パシェ氏にスイス時計の低価格品の伸び悩みについて、また世界中で時間が街中に掲示されている中で今後も時計を売り続けるチャレンジについて、インタビュー。

swissinfo: 1月の輸出結果からみると、スイス時計産業は今回も個数では輸出量が減っていますが(−18%)、収益では増えています(+8%)。これをどう説明しますか?

パシェ 氏: スイスの時計産業は常に高級品の方が低価格品より重要な位置を占めてきました。収益で言えば、高級品の伸びが大幅に低価格品の低下を埋め合わせています。それでも、量で言えば高級品の性質からそうとも言えませんが。

 この理由として、低価格品は手強い競争相手が挙げられます。特に生産費が安いアジアで作られる品物です。中国、韓国、インドそして部分的に日本がアジアの主な競争相手になっています。

swissinfo : これまでは、低価格品の売り上げ低下が主でしたが、2006年1月には3000フラン(約27万円)以下の中価格品を含む腕時計は売り上げが減りました。これは一つの新傾向の始まりですか?

パシェ : まだ、1月分だけでは何とも言えません。我々が観測しているのは2005年の傾向が続いているというとです。2005年には500〜3000フラン(4万5千円から27万円)の中価格品も含めた高級品(3000フラン以上)の売れ行きも伸びています。

 1月は中価格品の売り上げが数パーセント減ったのですが、これで結論を出すのは早すぎるでしょう。

swissinfo : スイスの安い時計の衰えは何時ごろから始まったのですか?

パシェ : もう数年になります。こういった動きはアジアの時計産業への参入の度合いによってある程度の影響がみられました。特に、欧州のブランドに見せかけて実際は中国で生産されている時計などがそうです。

 中国産時計といっても、中国のブランドが世界を制覇しているというわけではありません。これは、流行の欧州ブランドでも、中国で生産が行なわれている時計も入ります。

swissinfo : 中国はスイスの時計産業にとって脅威ですか?

パシェ : 中国は急成長する目覚しい市場です。しかし、我々の製品にとって重要な市場であると共に物凄い競争相手でもあります。

 中国に脅えているわけではありません。それでも、時計の部品を作る国として、また最終的な製品としての時計を造る国としてかなりの競争相手になる国だと現実的に受け止めています。 

swissinfo : それでは、今後もスイスで低価格の製品を作り続けるのでしょうか?

パシェ : もちろんです!量では減っていますが、それにも関わらず生産量はかなりのボリュームを占めています。そして、それが続くことを願っています。そのためにブランドは戦っているのです。

swissinfo : この低価格製品の売り上げの低下は雇用にどのような影響があるでしょうか?

パシェ : この低下傾向が続き、加速されれば影響は出るでしょう。量は最終的な製品にしろ、構成部品の生産にしろ、雇用と連結していますから。

 しかし、この影響は今のところ確認されていません。時計業界の雇用はかなり、安定していて4万人弱にとどまっています。

swissinfo : 「スイス製(swiss made)」というマークはこの業界ではかなり優位です。このトレードマークについての話し合いはどうなっていますか?

パシェ : 「スイス製」のマークについては活発に議論されているところです。スイス時計協会は「スイス製」の記載について1970年に決められた法規定について、それを見直す研究委員会を任されています。産業は1970年以来随分と変わりましたからね。

 その後、連邦レベルでの立法議会に回って、そして、EUとの二国間協定にも法規定が組み込まれなければならないので、決着には多分、少なくともあと10年はかかるでしょう。

swissinfo : この法が見直されることは低価格品が救われるチャンスとなりますか?

パシェ : これは低価格品も含めた時計業界の全ての分野にとって重要です。時計がスイス製であることは市場で他の商品との区別でき、消費者が買う要因になりますからね。


swissinfo ピエール・フランソワ・ブソン 聞き手、 屋山明乃(ややまあけの)翻訳

スイス時計業界は2006年に5〜6%増の総売上高を期待している。

2005年に輸出額は記録的な123億フラン(約1兆1千億円)に達し、10.9%の成長をした。

スイス時計協会は会員500人、そのうち90%が生産者である。

<スイス時計産業の概要/前月比で>

- 2006年1月の輸出総額は8億5420万フラン(約770億円)で7.8%の成長。

- このうち腕時計でいえば、7億9000万フラン(約715億円)で8.5%の成長。

- しかし、商品の個数でいえば190万個で17.9%減った。

- 3000フラン(約27万円)以上の高級時計の個数の伸びは57.6%で利益でいえば39.9%の伸び。

- 低価格品の時計は売り上げは半減した。

- スイス時計の主な市場は米国、香港、日本、ドイツ、イタリアやフランス。

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