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「海を守ります」がキャッチフレーズ

このまま乱獲が続けば、海の資源は枯渇の運命。高まる需要にどのようにこたえていくのか?

(Keystone Archive)

4月になって、レストランを対象とした魚介類の卸ではスイス最大の「ビアンキ」が、魚の捕り過ぎにブレーキをかけるために、一部の魚を取り扱わないと発表した。

これに続くかのように、大手スーパーの「コープ」も、同じような趣旨で5月12日付の顧客用新聞で魚の乱獲問題を記事として取り上げ、以前からある自然保護の企業方針を強調することで、「環境会社」のイメージをアピールしている。

代替魚はある

 「ビアンキ ( Bianchi )」 は今年2月から、スイスの大手スーパー「コープ ( Coop )」や「ミグロ ( Migors ) 」に次いで、世界自然保護基金 ( WWF ) の魚乱獲防止を訴える「シーフードグループ ( Seafood Group )」に加盟し、パンフレットなどで顧客に理解を求め始めている。ビアンキの社長ジュリオ・ビアンキ氏は
「WWFのリストは常に変わるので、仕入れも柔軟にやっている。いずれにせよ、海の乱獲を止めないことには。長期的に見て、私たちは何かしなければならないのだ」
 と自然保護のための措置だと訴える。

 スイスドイツ語圏の日刊紙「ターゲスアンツァイガー ( Tages Anzeiger )」は4月9日、「赤マグロ、ウナギ、カレイのターボットは、チューリヒの高級寿司店で、入手不可能」とビアンキの決定を報道した。
「そんなことはない。WWFが捕獲しないようにとリストアップした魚でも代替の魚があるので、それを卸している。レストランからの不満はない」
 とビアンキ氏は反論する。

 寿司はスイスでも人気。「マグロがなくなればサーモンを赤く染めるしかない」と嘆くチューリヒ市内の寿司屋の苦情も同紙上で報道された。しかし、チューリヒ市内で寿司屋を経営し、ビアンキからも魚を卸しているブンツェル・佐鳥千恵子さんは
「( 今後 ) 制限されるのは当然かもしれません。スイスでは、マグロを注文するとトロと赤身の区別もなく配達されますし、材料に合わせて料理を工夫することが大切だと思っていますから、新しいアイデアで勝負するだけです」
 と余裕のある反応だ。

スイス産のタイ?

 食品大手「ネスレ ( Nesté ) 」の冷凍食品メーカー「フィンドゥス ( Findus )」も、昨年9月、全商品を水産物エコラベル「MSC」に移行する決断を下した。また、「ここ数年で、スイスの魚介類の市場におけるシェアーを2倍に増やした」コープは、MSCラベル商品の導入に積極的でもあり、WWFの基準に沿った魚を購入している。

 「WWFの基準で『手を出さない方がよい』と指定されている魚の安売りをすると、顧客からクレームの電話が来る。WWFが赤信号を出している魚でも、別の地域で捕獲されたものを売っているので、指摘を受けた安売りの魚は、実はWWFの基準にのっとっている」
 とコープ広報のニコラ・シュミット氏は語る。有機農作物の販売では先駆的だったことを自負するコープは
「魚販売でも会社のイメージを洗練させたい。そのために独立した機関による規定やコントロールは大切」
 と乱獲阻止でも積極的な姿勢をアピールしている。

 WWFスイスによると、2007年スイスにおける魚の消費量は年間約3万7000トン。中でも特に捨てる部分が多いエビやカニはスイス人も好きで、その消費量は年間5000トンに上ると指摘する。連邦統計局 ( BFS/OFS ) によると、スイスの魚の消費量は、増加の傾向にあり、例えば2001年から2005年までの平均より2006年は9.3%増加した。

 このような状況からスイスでは、新しい産業として魚の養殖産業が注目されている。アルプス産のキャビアは、既に生産が軌道に乗っているほか、レッチュベルクトンネルでは淡水魚のサヨリ、年間300トンの生産が今年7月から始まる見込みだ。さらに、4月末にはグラールス州で、毎日5トンの魚を生産するというスイス最大の養殖場の建設の是非が州民に問われた。結局、動物愛護団体などが反対し、建設案は否決されたものの、規模を縮小する代案が出されている。

 この養殖場ではタイ、スズキなど海の魚を養殖する計画で、海のないスイス産の海水魚が普通にスーパーに売り出される日も近いのかもしれない。

佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) swissinfo.ch

キーワード

スイスで消費される魚の9割以上は輸入物。
WWFスイスによると、2007年スイスにおける魚の消費量は年間約3万7000トン。エビやカニの消費量は5000トンに上ると指摘する。連邦統計局 ( BFS/OFS ) によると、スイスの魚の消費量は増加の傾向にあり、例えば2001年から2005年までの平均より2006年は9.3%増加した。

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