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スイスのメディアが報じた日本のニュース

ハーモニカの練習をする日本人高齢者
夕刊紙ブリックは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に到達する今、日本が抱える高齢化問題はさらに悪化する可能性が高いと伝えました Keystone

今週(9月15日〜21日)スイスの主要報道機関が伝えた日本関連のニュースから2件をピックアップ。要約して紹介します。

「スイス企業、地元企業と密接に協力 万博パビリオン建設」「人口の1割以上が80歳超 なぜ日本人は長寿?」「旧奈良監獄が高級ホテルに」「鹿も雨宿り ゲリラ豪雨で」―といったトピックスが取り上げられました。

この中から今回は「スイス企業、地元企業と密接に協力 万博パビリオン建設」「人口の1割以上が80歳超 なぜ日本人は長寿?」をご紹介します。

スイス企業、地元企業と密接に協力 万博パビリオン建設

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の海外パビリオン建設をめぐり、スイスの仮設・イベント建設会社ニュスリが大阪に支社を開設し、現地の建設業許可を取得したとマーケティング専門誌ヴェルベヴォッヘが報じました。建設業許可は国外企業が日本で工事をする際に必要となるもので、日本経済新聞は先月、大阪府がニュスリに対して初めて出したと報じています。

記事によると、イベント施設や展示会のパビリオン建設などで実績を持つ同社は、スイスだけでなくオーストリアのパビリオンも担当。支社はニュスリが全額出資し、万博関連のプロジェクトに注力します。また、支社があることで地元企業とのより密接な協力関係の構築が可能になり、専門知識の活用や輸送ルートの短縮化が図れるメリットがあるとしています。(出典:ヴェルベヴォッヘ外部リンク/独語)

人口の1割以上が80歳超 なぜ日本人は長寿?

18日の「敬老の日」に合わせ日本政府が公表した高齢者の人口推計について、複数の日刊紙が記事を配信しました。

総務省が公表した今月15日現在の人口推計によると、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は過去最高の29.1%で、80歳以上の割合は初めて10%を超えました。夕刊紙ブリックは、労働者人口割合の減少と、その一方で増え続ける年金受給者・要介護者というダブルの課題に日本政府は対応していかなければならないと指摘。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に到達する今、こうした問題はさらに悪化する可能性が高いと伝えました。推計によれば、1億2400万人の日本人のうち、75歳以上は約2千万人に上っています。

無料紙20min.は「世界第3位の経済大国、日本で100歳以上の高齢者が9万2139人と53年連続で過去最多を更新」した点に注目。

同紙はなぜ日本人がこれほど長寿なのかを深堀りし、「近代的な医療システム、良好なインフラ、安定した政治状況、穏やかな気候、高い衛生水準、バランスの取れた食生活が、日本人の平均寿命の長さに貢献している可能性が非常に高い」という米国立衛生研究所(NCBI)の分析を紹介しました。緑茶をたくさん飲む習慣があることも理由の1つだそうです。

記事ではスイスも長寿国であることに触れています。スイスの女性の平均寿命は85歳を超えており、それよりも長寿国なのは日本(87.3歳)、韓国(86.6歳)、スペイン(85.7歳)だけです。

ほかに「バランスのとれた食生活を送っていますか?」といった読者アンケートも実施。21日までに読者3145人が回答し、「食事には気をつけるが、時々不健康な食べ物も口にしている(49%)」が最多で、次に「はい、健康的な食生活を送ることは重要だ(26%)」「いいえ、食べたいと思ったものを食べる(23%)」が続きました。「ジャンクフードが好き」と答えた回答者はわずか2%でした。(出典:ブリック外部リンク/独語、20.min外部リンク/独語)

今週のスイスのニュース

今週、最も注目されたスイスのニュースは「スイス・カトリック教会で性的虐待 調査・改革はどこまで進む?」(記事/日本語)です。ほかに「時代を先取りしてきたブヘラ ロレックス傘下に」(記事/日本語)や、時計専門誌クロノス日本版編集長・広田雅将氏による「自らタブーを破ったロレックス」(記事/日本語)も話題になりました。

また、日本美術専攻で女性皇族初の博士号・哲学博士を持つ三笠宮家の彬子さまが12日、チューリヒ大学で日本の仏教美術をテーマに基調講演されました。同大が公式サイトでその様子を紹介しました。サイトによると、彬子さまが講師として同大を訪問されるのはこれが3回目。長年親交のあるハンス・ビャーネ・トムセン同大教授(東洋美術史)の発案がきっかけで今回の訪問が実現しました。彬子さまは1949年の火災で大半が焼損した法隆寺金堂壁画の模写作品について説明されました。

また、彬子さまは「日本の皇室の一員であると同時に美術史の研究者であるということ」についても触れられました。記事によると、彬子さまは元々美術学を究めるつもりはなかったもののの、英国での交換留学中、他国の学生から日本の文化についてよく質問され、自分がいかに自国の伝統について知らなかったかを実感したと説明。また、日本美術の捉え方が日本と西洋では大きく異なっていることに気づくなど、そうした経験がきっかけで自国の文化遺産への関心が高まり、海外における日本文化のより良い理解に貢献したいと思うようになったと語られました。(出典:チューリヒ大学外部リンク/英語)

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次回の「スイスのメディアが報じた日本のニュース」は9月29日(金)に掲載する予定です。

編集:宇田薫

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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