スイス金融当局によると、2019年にスイスで実行されたイニシャル・コイン・オファリング(ICO)は前年から半減した
© Keystone / Gaetan Bally
スイスの金融規制当局は昨年、反マネーロンダリング(資金洗浄)規制に違反したとして、仮想通貨を使った資金調達「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」を8件告発した。
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ICOは価値が将来発生するデジタルトークンを販売し、一般の消費者から資金を調達する仕組みだ。スタートアップ企業が資本を調達しやすくなるメリットがあるが、詐欺を犯す事業者も多い。スイス金融市場監督機構(FINMA)は年次報告書で、2019年に60件のICOを捜査したと発表した。
10件以上が反マネーロンダリング規制に違反しており、うち8件に関わった人物が告発された。FINMAは一般人が避けるべき企業のブラックリストに8社を掲載。うち3社を処罰した。
2019年のスイスでのICOは94件と、18年の184件から大幅に減った。
FINMAは年次報告書外部リンクで、仮想通貨の保管や取引、投資を代行する業者による詐欺が増えていると警告する。「これらのサービスを提供する詐欺業者のサイトが増えている。顧客への仮想通貨への投資を支援するとうたっているが、預かったお金を適切な用途に使っていない」と指摘した。
昨年、トークンのカストディ(保管)・取引企業1社が刑事告発された。顧客と仮想通貨取引所を仲介する企業や、昨年、トークンの保管と取引サービスを提供している無名のプロバイダー1社に対して刑事告訴が行われた。顧客とクリプトカレンシー取引所の仲介役を務める会社と、デジタル証券を違法に販売した疑いのある別の会社も処罰された。
違反企業が顧客から獲得したお金を返済させられた案件も複数あった。
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