The Swiss voice in the world since 1935
パーソナルフィード

ログインしてフィードにトピックを追加しましょう。

今すぐ登録
お気に入りリスト

ログインして記事を保存リストに追加しましょう。

今すぐ登録
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録
トップ・ストーリー
ディベート
すべての議論を見る

プレミアム食品市場での地位強化を目指す 食品・飲料グループCEO

スイスの食品・飲料グループ企業、オリオールの会長兼代表取締役であるモニカ・フリードリ・ヴァルザー氏は、米ミシガン大学のテクニカルコミュニケーションおよびレトリカルコミュニケーションの修士号取得者だ
スイスの食品・飲料グループ企業、オリオールの会長兼代表取締役であるモニカ・フリードリ・ヴァルザー氏は、米ミシガン大学のテクニカルコミュニケーションおよびレトリカルコミュニケーションの修士号取得者だ Thomas Kern / SWI swissinfo.ch

スイスの食品・飲料グループ企業オリオール(Orior)の代表を務めるモニカ・ヴァルザー氏は、食品ブランドを世界ブランドへ育てるのは容易ではないと語る。

スイスの食品・飲料グループ企業オリオールの代表を務めるモニカ・ヴァルザー氏は、食品ブランドを世界ブランドへ育てるのは容易ではないと語る。

一般的な知名度は低いかもしれないが、オリオールAGは12のブランドを擁するスイスの国際的食品・飲料グループ企業で、多様な商品カテゴリーを展開している。

同社が取り扱うビュンドナーフライシュ(グラウビュンデン州特産のドライビーフ)、野菜ジュース、鶏肉製品、オーガニックレモネードなどは、スイスや欧州各国のスーパーマーケットなどの食品小売りチェーン店で販売されている。

チューリヒに本社があるオリオールにとって、2024年は試練の年だった。スイス証券取引所に上場している同グループ全体の2024年の純売上は前年から安定しており、6億4210万フラン(当時のレートで約1132億円)だったにもかかわらず、「過剰な支出」が原因で、有利子負債から現預金や短期金融資産などの流動性が高い資産を差し引いた純有利子負債(ネットデット)は1億8140万フランに達した。これを受けて、利払い・税引き・償却前利益(EBITDA)は前年の5920万フラン(約100億円)から2250万フラン(約40億円)へと減少した。

しかし、同社の報告によると、翌2025年の売上高は6億2300万フランで前年比3%減となった一方、EBITDAは2024年比で91%増加した。

スイスインフォはチューリヒにあるオリオール本社を訪ね、2025年5月に同グループの会長兼代表取締役(グループCEO)に就任したモニカ・ヴァルザー氏にインタビューを行った。同グループの変革を主導することとなったヴァルザー氏は、オリオールは現在、さらに成長できる体制が整った段階にあると語る。

スイスインフォ:2025年5月のトップ就任以降、取り組んできた主な課題と今後の展望について教えてください。

モニカ・ヴァルザー:課題としては、2024年は支出が過剰だったので、2025年中にキャッシュフローとEBITDAを正常化し、再び成長軌道に乗せ、ネットデットの高さに対処する必要がありました。

そのためには戦略的方向性の修正が不可欠でしたので、規模が過度に大きく、コストがかさむプロジェクトを回避しました。その結果、2025年のネットデットは前年から2910万フラン減の1億5230万フラン、EBITDAは前年比91%増の4300万フランとなりました。

今後については、大きな目標を掲げています。今後5~10年間の目標は、企業規模を拡大するだけでなく、良質な食の世界で確固たる地位を築くことです。

電気通信産業、エネルギー、旅行カバン、家具、現在の食品と、さまざまな業界でキャリアを積まれていますね。多様なキャリアパスのメリットとデメリットは何でしょうか。

さまざまな業界で働いてきたのは事実ですが、キャリアの中では一貫して、企業の成長か再建のどちらかを行ってきました。企業のトップとして働く上で、安定した企業経営と企業再建の主導のどちらを優先するのか、自らの考えをまとめるのは大切だと思います。どちらの姿勢も必要ですが、私は明らかに後者を優先するタイプです。だからこそ、企業の経営状態が安定した後の段階では、私は必ずしも適したリーダーではなくなるのです。

「経営状態が安定した後の段階になれば、必ずしも私が適したリーダーとは限りません」
「経営状態が安定した後の段階になれば、必ずしも私が適したリーダーとは限りません」 Thomas Kern / SWI swissinfo.ch

スイスの上場企業の多くは、会長と代表取締役(グループCEO)を分けています。この2つの役職を兼任するメリットとデメリットを教えてください。

兼任は意図的なものではなく、どちらの役職も前任者が退任したため、必要に迫られた形です。どのような組織構造にもメリットとデメリットはあるものですが、会長とグループCEOを兼任する主なメリットはスピードですね。意思決定から実行に移すまでの時間を短縮できます。とはいえ、取締役会で決定事項についての説明責任を果たすことは依然として欠かせません。自らが事業運営に深く関わり、中核となるビジネスプロスを理解していれば、承認を得るのは容易になります。オリオールの場合、迅速な行動が求められる移行期においては、この兼任体制は適切だったと考えています。

2024年までCEOを務めていた高級家具メーカー、de Sede AGの従業員数は約100人ですが、オリオールには約2500人の従業員がいます。規模の大きな組織をマネジメントする上で、根本的な違いはありますか?

企業規模の違いはあっても、リーダーとしての本質的な役割はほぼ同じですし、直属の部下の人数も同程度です。オリオールでの私の部下は、主に子会社のCEOたちですから。

オリオールはスイス国内、欧州各国での買収をとおし、大きく成長してきました。傘下には現在、12の子会社、ブランドがあります。事業拡大に関し、どのような戦略的論理を持っていますか。

オリオールの事業は高付加価値食品、調理済み食品、国際事業の3つのセグメントで構成されています。非常に理にかなった構成です。各セグメントの業績は異なりますが、こうした事業を多角化することで、外部要因のさまざまな課題に対するグループ全体のレジリエンスを高めることにつながっています。

子会社間のシナジー(相乗効果)は重要視していますか?

オリオールでは、子会社のCEO間だけでなく、営業チーム、マーケティングスペシャリスト、製造・イノベーション分野の専門家の間での緊密な連携や相互支援を促進しています。同時に、損益責任など、経営責任は各子会社のCEOと経営陣が負うのが必須だと考えています。

財務、法務、投資家向け広報など、一部の共有部門はチューリヒ本社でオペレーションを行っていますが、あえて少数精鋭の体制をとっており、従業員数は15人程度です。取扱製品、原材料の多様性を考慮すると、オリオールの場合、生産設備の共有化は業態に適しません。また、商品ラインナップが複数のカテゴリにまたがっているため、小売りスペースで優位な売り場の確保を行うことも難しいです。

「小さな本社」なのですね。スイスに拠点を置くことは重要なのでしょうか。

重要なのは、どこに生産拠点があるか、ということです。例えば、サラミはティチーノ州で生産することで、この地域にある「イタリアらしさ」や専門知識を活かしています。

「機能性食品、高品質食材の強みを活かし、集中的な成長を目指しています」 
「機能性食品、高品質食材の強みを活かし、集中的な成長を目指しています」  Thomas Kern / SWI swissinfo.ch

新たな買収や、グループ経営の合理化の予定はありますか?

機能性食品や高品質食材の強みを活かし、集中的な成長を目指しています。現在、関心を寄せているのは、オリオールの技術革新とスピードで他社との差別化を図れるニッチな製品です。目指すのはオーガニック成長と、スイス国内外の企業の買収による成長の両方です。最近の例を挙げると、イタリアのパスタメーカーPastificio Gaetarelliの買収を完了しました。一方で慎重に検討を重ねた末、高品質な調理済み食品や食材を専門に取り扱うベルギーのメーカーCulinorの売却は見送ることにしました。

オリオールのブランドの多くは、「汎ヨーロッパ的」ブランドというよりは国内または特定地域で確固たる地位を築いているブランドです。今後、海外展開していく計画はあるのでしょうか。

取扱ブランドの一部は既に海外展開を行っています。一例を挙げますと、ドイツで製造しているゲザの高品質野菜ジュースは複数の国に輸出しています。しかし、食品業界は元来、地域に根ざしていますので、国際的なブランドを育てるのは容易なことではありません。法規制、消費者の好み、賞味期限なども異なり、そうしたすべての要素が影響します。

「製品カテゴリごとに課題とチャンスがあります」 
「製品カテゴリごとに課題とチャンスがあります」  Thomas Kern / SWI swissinfo.ch

オリオール製品の多くは「スイスネス(スイスらしさ)」基準を満たしているので、パッケージにスイス十字を表示することができますが、あえて非表示にしている製品もあるのはどうしてですか?

ビオッタのジュースなど、特定の製品ではスイス十字を表示しています。ですが、スイス産であることが自明の製品の場合、スイス十字を表示しても付加価値が生まれるとは限りません。また、原材料の輸入の割合が高く、「スイスネス」ラベルの基準を満たせない商品もあります。

オリオールの各子会社には強いブランド力がありますが、ネスレのように、親会社であるオリオールのブランド力を向上することに価値があるとお考えですか?

私たちのビジネスモデルでは、顧客と直接関わるのは子会社ですから、重要なのは子会社のブランド力です。親会社であるオリオールが担う役割はごく限られています。優秀な人材の確保に役立つ可能性はありますが、本社が採用を行うケースは稀で、従業員の多くは子会社が採用しています。

スイス国外の売上が全体の約30%を占めています。国際市場における主な課題は何ですか?

スイスから輸出するのではなく、各市場用に現地で製造するケースがほとんどです。製品カテゴリごとに課題とチャンスがありますので、一概には申し上げにくいです。

オリオールはスイス証券取引所に上場しています。2026年6月時点の株価は13.5フラン前後、株価収益率(PER)は10倍を下回りました。競合他社の中にはPERが18倍の企業もあります。投資家から適正に評価されているとお考えでしょうか?

私の責務は、オリオールに出資してくださった株主に貢献することです。そのための最善の方法は、短期間の業績のみにとらわれるのではなく、長期的な業績に着目し、堅実な戦略を実行することです。現在の株価は私たちが望む水準には達していませんが、着実に目標達成を重ねていくことで、市場からの評価につながると確信しています。

オリオールには1人の主要株主と多数の少数株主がいます。どのようにして、すべての株主に対する平等性を確保しているのですか?

株式の保有数にかかわらず、すべての株主に情報を平等に提供することが法律で義務づけられています。機関投資家向けの説明会に加え、少数株主とも個別に面談やヒアリングを行う体制を整えています。

編集:Virginie Mangin/ds、英語からの翻訳:鈴木寿枝、校正:大野瑠衣子

人気の記事

世界の読者と意見交換

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部