スイスの視点を10言語で

「双頭のワシ」で罰金のスイス代表シャキリらに募金集まる

シャキリ
22日のワールドカップ・対セルビア戦でゴールを決めるスイス代表のジェルダン・シャキリ Keystone

サッカー・ワールドカップ(W杯)の試合中、アルバニア国旗に描かれた「双頭のワシ」を表すジェスチャーをし、国際サッカー連盟(FIFA)から罰金処分を受けたスイス代表のジェルダン・シャキリら3選手に対し、罰金を肩代わりするクラウドファンディングが立ち上がった。現時点で罰金全額を超える金額に達している。

 クラウドファンディング外部リンクは、ニューヨーク在住のアルバニア人リリンド・レカさんが立ち上げた。25日の開始から24時間で目標額の2万5千ドル(約275万円)を達成。28日朝時点の募金額は2万6361ドル。

 22日のセルビア戦では、スイス代表のシャキリとグラニット・シャカの二人がそれぞれゴールを決めた後、両手の甲を胸で交差し、アルバニアの国旗に描かれた「双頭のワシ」を意味するパフォーマンスをした。二人はアルバニア系スイス人で、これがセルビアに対する「政治的パフォーマンス」だとして物議を醸した。試合は2-1でスイスが競り勝った。

 FIFAは「フェアプレーの原則に反する行動を取った」として、シャキリとシャカにそれぞれ1万フラン(約110万円)、騒ぎに加担したとしてシュテファン・リヒトシュタイナー主将に5千フランの罰金処分を科した。

>>「ワシのポーズ」スイス代表3選手に罰金処分 

 セルビア人とアルバニア人の対立は根深い。2008年、アルバニア人が多数を占めるコソボはセルビアからの独立を宣言したが、セルビアはこの独立を認めていない。シャキリはコソボ生まれ、シャカ自身はスイスのバーゼル生まれだが、両親はコソボ系アルバニア人で、自身のルーツをソーシャルメディアで隠すことなくアピールしている。

ワシを恐れるなかれ 

 レカさんは自身のクラウドファンディングのウェブサイトで、スイスの選手たちが「世界中のスイス人とアルバニア人に喜びと幸福をもたらした」とたたえた。

 また「スイスサッカー協会がこの募金を受け取らないのなら、私たちは彼らが選んだ慈善団体に全額を喜んで寄付する」としている。

 罰金の肩代わりを申し出ているのは、レカさんだけではない。アルバニアのエディ・ラマ首相は26日、自身のフェイスブックページで「ワシを恐れるなかれ」と題し、募金用の口座番号を載せて協力を呼びかけた。公務員を含む一部のコソボ系アルバニア人も寄付を申し出たと報じられている。

外部リンクへ移動

 コソボ北部で育ったスイス代表のMFヴァロン・ベーラミは26日、ロシアで報道陣の取材に対し、「双頭のワシ」のパフォーマンスは「もう終わった話」だとして、同じことは二度と起きないと語った。

 スイスは27日、グループステージ最終戦でコスタリカと2-2で引き分け、グループ2位通過を決めた。来月3日に行われる決勝リーグ初戦のラウンド16ではスウェーデンと対戦する。

おすすめの記事
ジャカ

おすすめの記事

シャキリ、シャカの「ワシのポーズ」スイスのコソボ系移民社会とは?

このコンテンツが公開されたのは、 サッカー・ワールドカップ(W杯)のスイス対セルビア戦で、スイス代表のグラニット・シャカとジェルダン・シャキリがゴール後に見せた「双頭のワシ」のジェスチャー。アルバニアの国旗を示すこのジェスチャーがセルビアに対する政治的パフォーマンスだとして、大きな批判を呼んだ。二人のルーツであるアルバニア系移民は、スイスで4番目に大きいコミュニティを形成している。

もっと読む シャキリ、シャカの「ワシのポーズ」スイスのコソボ系移民社会とは?

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

耳を抑える子どもと打ち上げ花火

おすすめの記事

「建国記念日に花火欠かせない」半数 スイス世論調査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス人の半数が、打ち上げ花火は8月1日の建国記念日に欠かせないと考えていることが最新の調査で分かった。しかし、回答者の大多数は個人での花火打ち上げに反対している。

もっと読む 「建国記念日に花火欠かせない」半数 スイス世論調査
給油中の車

おすすめの記事

スイス、EV・ハイブリッド車が好調

このコンテンツが公開されたのは、 スイス自動車輸入組合オート・スイスの最新データによると、今年上半期のスイスの新車登録台数の58%はハイブリッド車と電気自動車(EV)だった。

もっと読む スイス、EV・ハイブリッド車が好調
ベルンのハイキングコース

おすすめの記事

大雨被害で多くの登山・ハイキングコースが閉鎖 スイス

このコンテンツが公開されたのは、 大雨による洪水や地滑りが発生したスイスでは、依然として約620カ所の登山・ハイキングコースが閉鎖されている。特に南部のヴァレー(ヴァリス)州で大きな被害が出ているという。

もっと読む 大雨被害で多くの登山・ハイキングコースが閉鎖 スイス
スウォッチのロゴ

おすすめの記事

スウォッチ1~6月期売上高14.3%減 中国の需要低迷が重荷に

このコンテンツが公開されたのは、 スウォッチが15日発表した1~6月の純売上高は34億5000万フラン(約6070億円)と、前年同期比で14.3%減った。中国の高級品需要の落ち込みが、スイス時計業界全体の重荷になっている。

もっと読む スウォッチ1~6月期売上高14.3%減 中国の需要低迷が重荷に
マイクに向かって演説をする女性

おすすめの記事

トランプ氏銃撃、スイス大統領「容認できない」

このコンテンツが公開されたのは、 ドナルド・トランプ前大統領が13日に銃撃された事件を受け、スイスのヴィオラ・アムヘルト大統領は「政治的な暴力は容認できない」と訴え、一日も早い回復を祈った。

もっと読む トランプ氏銃撃、スイス大統領「容認できない」
洪水の被害を受けた地域

おすすめの記事

ツェルマット行き鉄道、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休 大洪水で

このコンテンツが公開されたのは、 スイス南部を中心に発生した大規模な洪水の影響を受け、ツェルマット~ディセンティス間を結ぶマッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)は、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休するとの見通しを明らかにした。

もっと読む ツェルマット行き鉄道、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休 大洪水で
スイスは対ロシア制裁リストを拡大した

おすすめの記事

スイスが対ロシア制裁リストを拡大

このコンテンツが公開されたのは、 スイスは対ロシア制裁リストを拡大した。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いていることを受け、欧州連合(EU)が決定した変更を採用した。

もっと読む スイスが対ロシア制裁リストを拡大

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部