スイスの視点を10言語で

「双頭のワシのポーズ」シャキリ、シャカらに罰金 FIFA

シャカとシャキリ
ゴールを決めた後、「双頭のワシ」のポーズをしたシャカ(左)とシャキリ Keystone

22日のサッカー・ワールドカップ(W杯)のスイス対セルビア戦で、スイス代表のグラニット・シャカとジェルダン・シャキリがゴールを決めた後にアルバニアの国旗に描かれた「ワシのポーズ」をした問題で、国際サッカー連盟(FIFA)規律委員会は25日、二人とシュテファン・リヒトシュタイナー主将を罰金処分にすると発表した。

 シャカ、シャキリはそれぞれ1万フラン(約110万円)、リヒトシュタイナーは5千フランを支払う。FIFAは3人が「フェアプレーの原則に反する行動を取った」としたが、出場停止処分は見送った。

 スイスは2-1でセルビアに勝利した。27日にはコスタリカと対戦する。

 シャカとシャキリはいずれもアルバニア系の出身。22日の試合では、二人はゴールを決めた後、それぞれ胸の前で手の甲を交差するポーズをし、これがセルビアに対する政治的パフォーマンスだと批判された。

 シャキリは2年前、所属する英ストーク・シティで週8万5千フランを稼いでいると英紙で報じられた。

 スイスサッカー協会(SFV)のペーター・ジリエロン会長は24日、スイス公共放送(SRF)のインタビューで、スポーツの場に本来持ち込んではならない政治的問題が原因でFIFAの調査を受けたのは非常に残念だと語った。

 シャカとシャキリが取った行動は、1990年代のコソボ紛争以降、根深く残るセルビア人とアルバニア人の確執を象徴している。

>>シャカとシャキリのゴールパフォーマンス、スイス各紙が批判  

 試合後、スイス各紙は二人の政治的パフォーマンスを批判。移民が多くを占める代表チームが本当にスイス代表と言えるのかという古い議論にまで火が付いた。

 一方、ギー・パルムラン・スポーツ相とイグナツィオ・カシス外相は、ドイツ語圏の日刊紙NZZ日曜版(24日付)のインタビューで選手たちを擁護。スタジアムで観戦したパルムラン氏は「熱気に包まれた試合を見れば、スイス代表の功績は高く評価されるし、選手が感情を爆発させてしまうのは理解できる」と語った。

 FIFA規律委員会はこのほか、セルビアのファンが「差別的な横断幕とメッセージを掲げた」などとしてセルビアのサッカー協会に5万4千フランの罰金を科した。またシャキリとシャカのゴールパフォーマンスに対して不適切なコメントをしたとして、スラビサ・コケーザ会長とセルビア代表のムラデン・クルスタイッチ監督にそれぞれ5千フランの罰金処分を科した。

ニュース

管制室

おすすめの記事

スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。

もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
裁判所のドア

おすすめの記事

「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。

もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
財布からお金を取り出す人

おすすめの記事

スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。

もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
対空防衛システム

おすすめの記事

米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触

このコンテンツが公開されたのは、 米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。

もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
UBSの看板

おすすめの記事

スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府は10日、「大きすぎて潰せない(TBTF)」銀行に関する規制改革案を発表した。UBSと他の「システム上重要な銀行」3行は、破綻時のスイス経済への影響を抑えるためにより厳しい資本要件を課される必要があると述べた。

もっと読む スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
新種のイカの化石

おすすめの記事

新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に

このコンテンツが公開されたのは、 スイス南部ティチーノ州の約2億4200万年前の地層から新種のイカの化石が見つかり、「Chuchichäschtli(クッヒカーシュトリ、スイスドイツ語で『食器棚』)」と名付けられた。

もっと読む 新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部