スイスの視点を10言語で

スイス、米国にイランへの人道支援促進を要請

Pompeo and Cassis shaking hands
スイス・ベリンツォーナで2日会談したマイク・ポンペオ米国務長官(左)とスイスのイグナツィオ・カシス外相 © Ti-press

スイスのイグナツィオ・カシス外相はマイク・ポンペオ米国務長官と2日会談し、米イラン関係の緊張緩和に向け、米国に対しイランへの人道的援助を促進するよう要請した。

2015年の核合意から昨年離脱した米国はイランへの経済制裁を大幅に強化した。カシス外相はこれについて、米国が金融取引を介しイランに食料と医薬品の購入を認めるよう望むと伝えた。

スイス連邦外務省の声明によると、カシス外相は「新しい制裁の下で苦しむ民間人の基本的需要を満たし、そうした人たちを支援したい」と述べた。

ポンペオ長官とカシス外相は2日の会談後、スイス・ベリンツォーナで記者会見した。カシス外相は、米・イラン両国が協議を行う意志がない限り、スイスに打つ手はないと述べた。

またスイスは40年近くにわたり、イランにおける米国の利益代表を務めており、ベネズエラにおいても同様に米国の利益代表を務めたいと強調した。ベネズエラ側はスイスが仲介役を務めることを正式に認めていない

カシス外相はまた、国連の枠組みでの多国間協力の重要性についても言及した。

行方不明の米国民と貿易

一方、ポンペオ長官は、中立国スイスの仲介役としての役割を強調。イランの刑務所で行方不明になっている自国民の帰国を確実に行うことが重要だとした。

ポンペオ長官は、米国はイランの核プログラムに関して前提条件なしに同国と協議する用意があると述べた。その上で、イランは「通常の国家」として振る舞う必要があると指摘した。

イランのロウハニ大統領が1日、米国が敬意を示せばイランは協議する意志があると示唆したことを受け、長官側も態度を軟化させたとみられる。

ポンペオ長官とカシス外相はともに、米・スイス国間の強固な貿易関係と、両国が共通の価値観を長い間培ってきたことに触れた。

ポンペオ長官は、二国間の自由貿易協定交渉について前向きな見方を示し、特に米国の防衛産業にとって、スイスには潜在的なビジネスチャンスがあると語った。

ポンぺオ長官は1日、スイス・モントルーで開かれた完全非公開のビルダーバーグ会議に参加。スイスの首都ベルンもプライベートで訪れた。

米国の国務長官がスイスを公式訪問するのは約20年ぶり。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

ツークの街並み

おすすめの記事

スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ

このコンテンツが公開されたのは、 世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。

もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
鏡を見るバレエダンサー

おすすめの記事

ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。

もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
自転車で遊ぶ子ども

おすすめの記事

スイス政府、国際養子縁組を禁止へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。

もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
生殖治療の画像

おすすめの記事

スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。

もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
研究施設で働くマスク姿の人

おすすめの記事

スイスに感染症情報解析センター発足

このコンテンツが公開されたのは、 感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。

もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
茶色い除湿器

おすすめの記事

ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。

もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
Xマークの画面

おすすめの記事

スイスでX離れ進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。

もっと読む スイスでX離れ進む

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部