スイスとフランスの研究チームが、世界中に生息する淡水魚と海水魚の遺伝的多様性をマッピングした初の世界地図を完成させた。
このコンテンツが公開されたのは、
連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)とフランスの大学の合同チームによる研究論文が10日、科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ外部リンク」に掲載された。研究者チームは、3815種の海水魚と1611種の淡水魚のDNA配列5万件超が記載されたオープンデータベースを精査。それをもとに、水域200 平方キロメートルごとの魚の多様性を試算した。
海水魚では、西太平洋、北インド洋、カリブ海で遺伝的多様性が最も顕著に表れた。淡水魚では南米で、欧州は比較的低かった。多様性の主要な影響要因は、海水魚では温度で、温度が上昇すると多様性が増した。淡水魚の場合では、生息地が多様ながら互いにつながっていることや、川の勾配の平均値との間で相関性があることが分かった。
こうした地図は、例えば魚の多様性が局地的に高い場所を中心とした海洋保護地域の設定に役立つという。
研究チームのロイック・ペリシエ氏は「生物多様性の保護においては、その集団の遺伝的多様性のモニタリングが必要になる。これは、環境条件が変化する中でも、水域が多様な遺伝物質を収めるのに十分に大きいことを保証する唯一の方法だ」と述べた。
続きを読む
おすすめの記事
製薬大手ロシュのテック人材争奪戦
このコンテンツが公開されたのは、
「リアルワールドデータサイエンティスト」や「デジタルトランスフォーメーションマネージャー」といった職種と老舗の製薬会社を結びつけて考えられる人は少ないかもしれない。しかし、これら新分野の人材獲得に余念がないのが、データ活用やデジタルヘルス分野で飛躍を狙うスイスの製薬大手ロシュだ。
もっと読む 製薬大手ロシュのテック人材争奪戦
おすすめの記事
氷河の後退 高まるアルプスの危険と新たな観光の展開
このコンテンツが公開されたのは、
氷河が融解すると、山の斜面が不安定になり、地滑りや洪水が起きるリスクが高まる一方で、スイスのアルプス観光に新たな展開をもたらす。
もっと読む 氷河の後退 高まるアルプスの危険と新たな観光の展開
おすすめの記事
氷河がなくなっても大丈夫?スイスの水力発電に未来はあるのか
このコンテンツが公開されたのは、
例えアルプスの氷河が消失しても、スイスの水力発電には影響が出ないと研究者は予測する。むしろ山に新しいダムと貯水池を建設し、アルプスにおけるエネルギー貯蔵量を増やすチャンスになるという。
もっと読む 氷河がなくなっても大丈夫?スイスの水力発電に未来はあるのか
おすすめの記事
製薬大国スイス、AIスタートアップの中心地になれるか
このコンテンツが公開されたのは、
人工知能(AI)は医療現場の救世主になるかもしれない。AIの導入で診断の精度が上がり、管理業務は削減され、医師が患者と向き合う時間が増えるとされる。製薬大国のスイスはAI医療の中心地となる条件がそろっているが、複雑な問題も抱えている。
もっと読む 製薬大国スイス、AIスタートアップの中心地になれるか
おすすめの記事
スイスのスタートアップ投資、初の10億フラン台に
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでスタートアップ企業への投資額が初めて10億フラン(約1080億円)の節目を超えた。世界で活躍する新興企業を表彰するスイス・スタートアップ・トップ100アワードでは、今年もおなじみの顔ぶれがスイスの息の長い革新力を見せつけた。
もっと読む スイスのスタートアップ投資、初の10億フラン台に
おすすめの記事
世界大学ランキングってそんなに大事?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大学は世界ランキングで上位に食い込んでいる。だが大学自身はどうとらえているのか?ランキングによって順位が大きく異なるのはなぜか?
もっと読む 世界大学ランキングってそんなに大事?
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。