ゴーディ・ハウ国際橋、トランプ口座、ファウチ博士…スイスのメディアが報じた米国のニュース
スイスのメディアが5日までの1週間に報じた米国の関連ニュースから、①米加を結ぶゴーディ・ハウ国際橋が開通②「トランプ口座」開始1カ月で700万件③アンソニー・ファウチ元大統領首席医療顧問への公聴会、の3件を要約してお届けします。
米国とカナダを結ぶ「ゴーディ・ハウ国際橋」が開通した。両国は貿易摩擦のさなかにあるが、新しい橋は国境を行き交う人や物流の円滑化につながると期待されている。
ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)によると、これまで米加間で最も交通量の多い国境では、約100年にわたり1つの橋に交通が集中していた。SRFは、新たに完成した6車線のゴーディ・ハウ橋は今後、国境を往来する交通の約半分を担う見込みだと伝えた。橋はカナダのアイスホッケー界の伝説的選手、ゴーディ・ハウにちなんで名付けられた。
橋は全長2.5km。総工費は64億カナダドル(約7400億円)で、カナダが全額負担した。
橋が結ぶ米ミシガン州デトロイトとカナダのオンタリオ州ウィンザーの間では、毎日5億フラン(約1000億円)を超える物資が運ばれる。物流だけでなく、国境周辺の事業者も新たな客足に期待を寄せる。ウィンザー・サンドイッチ地区の理髪店主はフランス語圏のスイス公共放送(RTS)に対し、「米国から新しい客が来てくれれば」と話した。
カナダは7月24日に橋の開通式を行ったが、米国側の代表は出席しなかった。3日前に米国がカナダ製品への新たな関税を発表したことを受け、両国合同で予定されていた式典は中止となったためだ。
RTSによると、橋は当初、2026年初めの開通を予定していたが、ドナルド・トランプ米大統領が繰り返し開通を認めず、橋の収益配分を求めたことなどから延期された。
RTSは「政治的な駆け引きや国境をめぐる対立にもかかわらず、この橋への期待は少しも薄れていない」と伝えた。
米政権が導入した子ども向け資産形成制度「トランプ口座」の開設数が、制度開始から1カ月で700万件に達した。
スイス・ドイツ語圏の日刊紙NZZによると、2025年1月1日から2028年12月31日までに生まれた米国籍の子どもは、親が「トランプ口座」を開設すれば、政府から1000ドル(約16万円)が非課税で支給される。NZZは、「無料でもらえるお金を断る人はいない」として、制度が短期間で広がったのは当然だと指摘した。
トランプ政権は、この制度によって老後資産の形成を後押しするとともに、国民の金融リテラシーの向上や株式市場への参加を促したい考えだ。口座は18歳になると通常の退職貯蓄口座に切り替わる。
制度は独立した専門家からも一定の評価を得ている。米保守系シンクタンク「マンハッタン研究所」の金融専門家、アリソン・シュレーガー氏は、裕福な家庭は大学進学費用や住宅購入資金を子どもに用意できる一方、この制度によって所得の低い家庭の子どもも、その差をいくらか埋められるという。「億万長者にはなれないが、生まれによる不公平を少し和らげることはできる」
一方、2028年に民主党が政権を奪還した場合、制度が廃止される可能性も取り沙汰されている。
シュレーガー氏は、民主党は制度名を変更する可能性はあるものの、制度自体は継続するとの見方を示した。民主党のコリー・ブッカー上院議員も、これまで「ベビー・ボンド」と呼ばれる同様の制度を提案してきた経緯があるためだ。 NZZは、「国民が一度慣れた政府給付を廃止することは極めて難しい」とし、「トランプ口座」は名称が変わっても長く存続する可能性が高いと結んだ。
新型コロナウイルス禍でホワイトハウスの医療顧問を務めた米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の前所長、アンソニー・ファウチ氏が29日、議会上院の公聴会で追及を受けたことについて、フランス語圏日刊紙ル・タンは「マッカーシズムの暗黒時代を思わせる」と伝えた。
同紙は、共和党議員らがファウチ氏を「科学ではなく政治の立場から攻撃した」と指摘。ヒドロキシクロロキンやイベルメクチンを支持し、新型コロナウイルス感染症のワクチンに否定的な議員もいると論じた。
ファウチ氏はこれまでに議会で200回以上証言している。ル・タンは「科学界を国民の敵とする陰謀論の象徴として、マッカーシズムの時代のように、見せしめにされた」と述べた。
さらに、「科学の政治利用は深刻な影響を及ぼしている」とし、研究者や博士課程の学生の減少、主要な研究プログラムの中止が進んでいると指摘した。スイス国立科学財団の助成を受けて米国で研究する研究者の中には、帰国や他国への移籍を考える人もいるという。
同紙は最後に、「長年、世界の研究をリードしてきた米国は、自ら科学大国としての地位を損ないつつある」としたうえで、「中国にとって科学は進歩、繁栄、そして国力の源である一方、トランプ政権下の米国では敵となっている」と結んだ。
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英語からの翻訳・校正:大野瑠衣子
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