スイス連邦COVID-19タスクフォースのマティアス・エッガー代表が、6月19日に非常事態宣言を解いたのは時期尚早だと語った。
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タスクフォースは、研究者らに科学的見地から感染予防対策へ助言してもらうため、連邦政府が立ち上げた。そのタスクフォースを率いるエッガー氏が日曜紙NZZ・アム・ゾンタークに「最近の緩和は時期尚早だ」と語った。
「以前と同様、スイス全体を包括する有効な監視システムがない。我々の接触追跡システムがどれだけ優れているのもはっきりしない」
スイス連邦内閣は6月19日、非常事態宣言を解き、緊急性が一段階低い「緊急事態」に引き下げた。それとともに6月22日から、これまで実施してきた制限措置のほとんどを緩和・解除すると発表した。
22日からは1千人以下のイベントが許可される(それまでは300人まで)。ただし感染追跡が確保されている場合に限る。1千人超のイベントだけが8月末まで禁止される。バーやレストランなどの営業時間の制限がなくなり、着席の義務付けも解除された。
20日から政治集会やデモができるようになったが、参加者にはマスクの着用が義務づけられた。連邦政府は在宅勤務推奨の勧告も取り下げた。今後の対応は各企業にゆだねられ、オフィス勤務再開の場合は必要な感染予防対策を講じる。
エッガー氏は緩和には慎重で、科学的な観点からみると感染の第2波が来た時、緩和によってスイスが危険にさらされるリスクは高いという。1日当たりの新規感染者数は、ピーク時の3月中旬の1千人超から、過去数週間は10~35人に落ち着いた。病院でも懸念されていたような医療崩壊は起きていない。
エッガー氏は、これまでの対策は順調だと語った。しかし、過去2週間で新規感染者数が増加し、実効再生産率(R値)が1を超える可能性が高いと警告した。
R値は、ウイルスに感染した人がさらに別の人にうつす人の数を推定したもの。専門家は、感染封じ込めにはこの値を1未満に保つ必要があるとしている。
エッガー氏は、感染者数が将来急増する可能性があるという。 COVID-19タスクフォースは、新たな制限措置を解除するのは時期尚早とみている。
同氏はまた、最近の新規感染者数の増加と再生産率の上昇は、5月11日以降の第2弾緩和が影響した可能性があると述べた。
政府は、各州の感染追跡システムと検査、広範囲なデータ収集の重要性を強調する。リスクの高い状況では、検査を迅速・広範囲に実施する必要がある。感染拡大が疑われる場合は、濃厚接触者だけでなく、本人の周囲全体の検査も求められる。
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