「子どもの入店禁止は差別ではない」スイスのカフェ看板で州政府が見解
レストラン経営者は、子どもの入店を禁止する権利があるーー。子どもの入店を禁止したカフェバーについて、スイス・アールガウ州の政府がこのような見解を出した。差別禁止よりも飲食店経営者の経済的自由が優先されるとしている。
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州政府が介入する事態に発展したのは、スイス北部・アールガウ州の州都アーラウ中心部にあるカフェバーの経営者が昨年、14歳未満の客の入店を拒否する張り紙を出したことにさかのぼる。
「静かで居心地の良い雰囲気を維持するため、乳幼児や小さなお子様のご同伴はお控えください」と入口のドアに掲示された張り紙は、昨年11月に様々なメディアで報じられた。
経営者が反論
カフェバーの経営者自身もメディア報道を受けて地元紙の取材に応じ、子どもの入店を禁じた理由は複数ある、と説明した。
ベビーカーが通路をふさぐ、子どもがメニューカードを傷つける、親が騒ぐ子どもたちをよそにスマートフォンに夢中になっている、などのほか、小さな子どもを連れた親たちは長時間滞在するのに消費額が少ない、という経済的要因もあったと語った。地元の飲食店業界団体の会長も、この店の判断に問題はない、と擁護した。
議会で質問状
州議会では、右派・国民党(SVP/UDC)の議員らが、連邦憲法に規定されている差別禁止の観点から、この件の法的評価を州政府に求める質問状を提出した。
州政府は6日付の回答書で、州飲食業法には客の選別に関する規定は存在しないと指摘。法的観点から、差別禁止と経済的自由という、いずれも憲法に明記されている二つの基本権が衝突していると述べた。
基本的人権は主に国家が国民に対して負う義務であり、個人間においては直接的な効力を持たない。飲食店経営は国家の任務ではないため、経営者は経済的自由の範囲内で誰にサービスを提供するかを自由に決定できる、とした。
州政府は、憲法で定められた差別禁止が侵害されたとは考えていない、と指摘。年齢は保護される属性ではあるものの、人種や性別に基づく差別と比べると、年齢差別の禁止はそれほど厳格には適用されないとしした。
侮辱的でも差別的でもない
したがって、14歳未満の子どもの入場を禁止する措置は、侮辱的でも差別的でもなく、人間の尊厳を侵害するものでもないとした。州政府はさらに、この論理に照らせば、仮に高齢者の入場制限を課す店が出た場合も同様だと説明。こうした選別を最初から禁じる法的規定は存在しないと述べた。
州政府は今回の件に関し、規制による介入や飲食業法を改正する必要はない、と述べた。また、特定の入店禁止措置によって、家族の社会的統合や国連子どもの権利条約が損なわれるとも見ていないとしている。また、州内には家族連れに優しい店が十分にある、とも述べた。
英語からの翻訳・追記:宇田薫
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